竹内涼真主演ドラマ『テセウスの船』最終回ネタバレ&感想です。
音臼小無差別殺人事件の真犯人の正体、佐野文吾と心が変えた2020年の未来、ラストは原作漫画とは違う結末になるのか、ドラマの気になる伏線と謎を徹底考察。
ラストまでネタバレしていますので、結末を知りたくない方はご注意ください。
『テセウスの船』最終回ラスト結末ネタバレ、真犯人の正体
まず原作漫画のネタバレからおさらいしていきます。
マンガ原作の結末ネタバレ、真犯人の正体は安藤政信
音臼小無差別殺人事件、及び音臼村で起きていた不可解な事故・事件の犯人は、安藤政信演じる加藤みきおです。
- 三島千夏:パラコートで殺害。
- 飼育小屋のウサギ:青酸カリで殺害。スコップで首を切断。
- 三島明音:青酸カリを飲ませるが死に至らなかったため、首を絞めて殺害。
- 長谷川翼:青酸カリを飲ませて殺害。
- 金丸刑事:崖から突き落として殺害。
- 田中義男:死因は心筋梗塞だが、実は加藤が殺害。
- 音臼小無差別殺人事件
キャスト的に見てもどう見ても安藤政信じゃん!
安藤政信以外いねーじゃん!と思った方、正解です。
『あなたの番です』では不発だったので、『ブラックスキャンダル』並の暴れっぷりを期待しています。
というか原作通りに進めばそうなります。
鈴には貫地谷しほりがキャスティングされているので、主役がポンコッツンでも最終回付近はめちゃくちゃ面白くなるはず・・・!
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音臼小無差別殺人事件の真相:加藤の犯行動機は鈴、父親の文吾への嫉妬
加藤は車椅子に座って下半身不随を装っていますが、実は歩けます。
21人の児童が死亡した音臼小無差別殺人事件の真犯人である加藤は、自身も被害者を装うため、青酸カリを舐めました。
ただし救急車が来る直前に舐めたため、後遺症は残らずにすんでいます。
そんな加藤が半身不随を装っているのは、心の姉・鈴に近づくためです。
加藤「僕は鈴が欲しかった・・・純粋な・・・最初の鈴が」
転向してきたばかりでクラスに馴染めずにいた加藤に、優しく話しかけてくれたのが、席が隣だった鈴です。
僕はいつも夢を見た。世界が鈴と僕だけのものになる夢を
そんな鈴を好きになった加藤は、鈴に好きな人がいるか尋ねます。
すると鈴は、
鈴「もし将来結婚するならお父さんみたいな人がいいかな」
と答えます。
加藤は嫉妬からでしょう、鈴の父親・文吾を殺人犯にしようと画策します。
そして、音臼小無差別殺人事件が起きたのです。
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1989年へタイムスリップした加藤の計画
加藤の目的は最初から鈴でした。
事件の後もずっと鈴を追い、児童養護施設や高校、勤め先、顔を整形したことも名前を変えたことも知っていました。
そして鈴に近付きます。
加藤「でも・・・鈴は僕の知ってる鈴ではなかった」
鈴が変わってしまったことに絶望した加藤は、慰霊祭で全員を巻き添えにして死のうと計画します。
しかしそこへ心が現れ、ともに1989年へタイムスリップ。
加藤は過去の改変を目論み、過去の自分に接触します。
しかし、鈴の過去を不幸にするほど、未来の鈴は変わってしまう可能性に気づきます。
そこで、加藤は計画を変更。
鈴が父親のような正義感のある人と結婚したいと言っていたことを思い出し、全ての罪を告白して、自分は加藤信也として死ぬことを決意。
鈴と和子を拉致し、旧校舎の物品室に閉じ込めます。
そして、子供の加藤が鈴を助け出し、鈴にとっての正義の味方となる計画を立てます。
一方で、事件の真相を知っている心と父親の文吾の口を封じるため、まず風速計のある小屋に心をおびき寄せ、石で頭を殴り昏倒させます。
その後小屋に火を放ち、最後の仕上げとして、加藤は文吾を殺しに向かいます。
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変わった2017年の未来、ラスト結末
加藤が文吾を後ろからナイフで刺そうとした時、心が間に割って入り、代わりに刺されました。
なおもナイフで襲いかかる加藤を、文吾が拳銃で射殺。
これまで心が自分の息子だと納得できずにいた文吾でしたが、心が事切れる間際、心の手を握って叫びます。
文吾「お前は俺の子だ!俺の・・・俺の息子だ!!」
心は田村心として、1989年6月24日、28歳で死亡。
音臼小無差別殺人事件は、殺人の証拠として加藤が小屋に残したテープを心が持って来ていたため、真犯人の加藤が連続殺人犯として逮捕されました。
これにより、文吾が逮捕される未来は大きく変わりました。
佐野家は全員仲良く暮らしており、心は佐野心として今を生きています。
夢だった教師になり、同僚の由紀と婚約しています。
一方、加藤の行方については、文吾が追っていましたが、施設を出て20年以上、わかっていません。
ラスト、東京の片隅をフードを深くかぶり、顔を隠して歩く加藤の姿がありました。
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伏線と謎の回収&答え
佐野家に青酸カリを隠したのは木村さつきではなく加藤
1989年6月24日、お泊り会に参加しなかった鈴と慎吾の様子を見に来た木村さつきが、佐野家でトイレを借りたことから、鈴は木村さつきが青酸カリを隠した犯人ではと疑っていました。
が、真犯人は加藤です。
加藤が電車で村まで行き、佐野家に青酸カリを隠したのでした。
その後、加藤は学校へ戻って、お泊り会へ参加しています。
加藤と木村さつきの共犯関係
心が考えていた通り、青酸カリの入手ルートについて、2人が共犯であれば木村さつきに持ち出してもらう方が話は早いはずです。
つまり、加藤と木村さつきの間に共犯関係は成立していません。
木村さつきが加藤の犯行を知ったのは、加藤が鈴を婚約者として連れてきた時です。
加藤が鈴と同棲することになった時、荷物の整理をしていて加藤が犯行を録音したテープを見つけ、そこで初めて一連の事件の犯人が加藤だと知るのです。
そして、
加藤「もう疲れた義母さん・・・終わりにしたい・・・俺を殺して」
という加藤に、木村さつきは忘れようと説きます。
ここから一方的に木村さつきは加藤を守ろうとして動いていきます。
佐野文吾の無実を証言しようとした佐々木紀子を殺害し、鈴をその犯人に仕立て上げます。
結果、
「母さんが余計なことするからめちゃくちゃだ・・・」
と加藤に殺されてしまいます。
木村さつきが鈴を犯人にしようとした理由は、嫉妬からではないかと。
木村さつきは養子にする前から、加藤を愛していたのかもしれません・・・。
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青酸カリが混入された飲み物がオレンジジュースから牛乳に変わった理由
心がタイムスリップしたことにより、音臼小無差別殺人事件で青酸カリが混入されていた飲み物は、オレンジジュースから牛乳に変わります。
変わった理由は二つ。
一つは、心から事件のことを聞いていた文吾の警戒が強かったためです。
そのせいで加藤は6月24日にオレンジジュースに青酸カリを混入する機会がなかったと思われます。
翌6月25日の朝、寒かったことから温めた牛乳にチョコレートを入れて溶かして飲むことにし、そこに致死量を越える大量の青酸カリを入れました。
もう一つは、木村さつきを殺さないためです。
心のノートを見た加藤は木村さつきがこの事件で死ぬことを知ります。
だから青酸カリを混入するのを、オレンジジュースから牛乳に変えたのではないでしょうか。
加藤は木村さつきが牛乳を飲めないことを知っていました。
しかし、木村さつきは倒れている子供に人工呼吸をして、結局青酸カリ中毒になってしまいます。
加藤自身は、救急車の音が聞こえた頃、牛乳を少しだけ舐めて被害者を装いました。
加藤は木村さつきに、死んだ母親の面影を重ねていたのかもしれません。
最も、加藤の中で鈴>>>木村さつきだったので、いずれの場合においても木村さつきは殺害されてしまいますが・・・。
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心が捨てたノートを拾った人物は?
金丸刑事に捕まる前に、心が捨てたノートと免許証を拾ったのは加藤です。
これにより、加藤は微妙に計画を変更し、かつ心が2017年の未来からタイムスリップしたことを知ります。
三島明音殺害現場に残されたSのキーホルダーの意味
加藤が三島明音を殺したのは、明音が鈴を泣かせたからです。
そして殺害現場に残したSのキーホルダーは、鈴に自分の犯行を知ってほしいというメッセージでした。
金丸刑事を殺したのは少年の加藤
これは佐々木紀子の回想で、大人の加藤か子供の加藤か?ちょっと判断がつかなかったんですが、
- 「こんにちは」とあいさつした際、金丸刑事が不審に思わずあいさつを返している。
- 大人の加藤がタイムスリップしてくるのは1989年6月20日。→2月26日に死亡している金丸を殺すのは不可能。
なので、少年の加藤です。
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加藤の青酸カリの入手ルートは佐々木紀子
事件の後佐野家から押収された青酸カリは、佐々木紀子が工場から持ち出したものです。
長谷川は加藤を暴行していました。
そのことで加藤は長谷川を脅し、長谷川が佐々木紀子に言って、工場から青酸カリを入手します。
長谷川は佐々木紀子に日常的に暴力を奮っており、佐々木紀子は長谷川の言いなりでした。
青酸カリを手に入れた加藤は、明音をモルモットにするため、長谷川に暴行させ、長谷川を犯人に仕立て上げます。
加藤みきおを引き取りに来た加藤信也の正体
祖母が病気になり、加藤は町の施設に預けられることになります。
その加藤を施設に引き取りに来た親戚、加藤の叔父を名乗っていた加藤信也の正体は、2017年の未来からタイムスリップして来た加藤みきおです。
※ドラマでは2020年。
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タイムパラドックスの考察
まず作中でタイムスリップは2回起きています。
1回目は2017年6月10日から1989年1月7日へ、
2回目は2017年から1989年6月20日へ。
※ドラマでは2020年。
2度目のタイムスリップでは、真犯人の加藤も心と一緒に2017年から1989年にタイムスリップしてきます。
これにより、過去の事件の様相がさらに大きく変わってきます。
1回目のタイムスリップ(2017年6月10日→1989年1月7日)で起きた変化まとめ
- 1989年1月7日に自宅屋根の除雪中に転落した鈴を心が助ける。→凍傷は軽くすんだ。
- 音臼小無差別殺人事件は6月25日に日時が変わった。
- 青酸カリが混入された飲み物は、オレンジジュースから牛乳に変わった。
- 被害者が変わった。→木村さつきが生存。→加藤に殺害される。
- 和子は一家心中を図り、鈴と心だけが生き残った。
- 児童養護施設「しらぎくの杜」に預けられたが、佐野の子供だと知られ、心を残して「しらぎくの杜」を出て行った。
- 鈴に三島明音殺害の容疑がかかっていた。
- 由紀は週刊実像の記者に。心とは結婚していない。バツイチで子供が一人いる。
- 金丸刑事が1989年2月26日に加藤に殺害された。
- 1989年6月24日当日、文吾は鈴と慎吾をお泊り会に参加させず、警備として現場に行った。
- 翌朝、次々と子供たちが倒れ、木村鍍金工場から盗られたものと同じ青酸カリが佐野家で見つかった。
- 鈴は整形して「村田藍」と名前を変えた。
- 鈴は加藤みきおと内縁関係にあり、加藤の子供を身ごもっていた。
- 加藤みきおは木村さつきの養子となり、木村みきおと名前を変えていた。
- 佐々木紀子は結婚して上野紀子となっていた。
- 木村さつきが佐々木紀子を殺害し、鈴を犯人に仕立て上げる。
佐々木紀子は本来4月6日に自殺するはずでしたが、加藤の金丸刑事殺害現場を目撃したことにより、村を出て生き延びます。
しかし、2017年に木村さつきによって殺害されてしまいます。
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2回目のタイムスリップ(1989年6月20日へ)で起きた変化まとめ
- 加藤が連続殺人犯として逮捕。
- 木村さつきはタイムスリップしてきた加藤に殺され、死亡。
- 田中義男は子供の加藤ではなく、タイムスリップしてきた大人の加藤が殺害。
- タイムスリップした心は、田村心として1989年6月24日、28歳で死亡。
- その後無事生まれた心は、佐野心として教師に。
- 由紀は同僚で婚約者。
木村さつきはタイムスリップしてきた加藤に、
加藤「義母さんは余計に頑張り過ぎた」
として殺害されています。
なので、木村さつきの死は2度のタイムスリップを経ても「死亡」で確定しており、彼女に関しては未来が収束していると言えるかもしれません。
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心が消える?タイムパラドックス
で、ここからが本題です。
タイムスリップものにはタイムパラドックスがつきものなので、その辺りも少し考察しておきます。
2度、心が1989年の過去へタイムスリップしたことによって、現実世界は3つのパラレルワールドに分岐しています。
- 佐野が逮捕され、由紀が死に、未来が生まれた世界。
- 和子が心中を図り、鈴と心が生き残った世界。鈴は加藤の子供を妊娠。
- 加藤が真犯人として逮捕された世界。
タイムスリップした心と加藤、2人ともが死んでいるので、すると
①:心は死亡。加藤は生存。
②:心も加藤も死亡。
という形で、世界が続いていくのではないかと。
作中で心と文吾が「事件を止めたら田村心という人間は消えるかもしれない」と語っていますが、タイムパラドックスの問題点はそこではなく、心が失われた世界がそのまま続いていく点です。
つまり、一見ハッピーエンドのように見えるラストですが、全てを知るのは佐野文吾のみであり、生まれてきた心は過去の改変を知らず、同時に他のパラレルワールドでは絶望世界が続いていきます。
救われてるようで全然救われてない・・・!
むしろ、より絶望が深くなってるぞと・・・。
とくに②では鈴は佐々木紀子の殺人容疑をかけられているわけですし、でも加藤が木村さつきを殺したから容疑は晴れるのか・・・?
まあタイムトラベルものは多かれ少なかれモヤモヤを残すものですが、しかし『テセウスの船』はその中でもモヤッとするものでしたね・・・。
ドラマのラストもやっぱり原作通りなのかなあ・・・。
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残された謎
心が事件のことを警告したから文吾が鈴と慎吾をお泊り会に参加させなかったのはわかるんですが、心がタイムスリップする前からお泊り会に参加させていません。
・・・なんで?
これだけはいくら原作漫画読み返してもわかりませんでした・・・。
なぜ・・・!?
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タイトル「テセウスの船」の意味
「テセウスの船」とはパラドックスを意味します。
「テセウスの船」とはパラドックスのひとつである。
その昔、クレタ島から帰還した英雄・テセウスの船を後世に残すため修復作業が行われた。
古くなって朽ちた部品を徐々に新しい部品に交換していくうちに当初の部品は全てなくなった。
ここで矛盾が生じる・・・
この船は最初の船と同じといえるのか?
これが人間だったらどうだろう
で物語は始まります。
2度のタイムスリップを経て、もはや心は元の心ではなくなっています。
過去の改変を繰り返すうちに未来も改変され、父親である佐野文吾の逮捕がなくなったことにより、心を構成してきた過去の全ては失われました。
つまり、今の心は最初の心と同じとはいえないということを意味しているのではないでしょうか。