新海誠監督の映画『天気の子』で、帆高はなぜ家出したのでしょうか?映画では明確な理由が語られていませんが、原作小説の設定から、おそらく父親が原因だと思われます。
父親に殴られ、島を出て東京に向かうことを決めた帆高の家で理由は、実は須賀の家出理由ともリンクしていた?
ラストまでネタバレしていますので、結末を知りたくない方はご注意ください。
帆高はなぜ家出した?父親に殴られたから?島を出て東京へ出た理由
陽菜に家出した理由を聞かれ、帆高は
帆高「息苦しくて・・・地元も親も。東京にちょっと憧れてたし・・・別に特別な理由なんてなかったんですけど」
と答えています。
「特に理由がない」っていうのは、
実はこれはある意味では真実です。
帆高が光を追って、海岸沿いの道を自転車で必死に走っているシーンがありましたよね。
あれこそが、帆高が家出をした理由です。
いつかあの光の中に行こう。その時僕は、そう決めたのだ。
確かに父親との確執や学校での息苦しさはあったのでしょうが、
シンプルに、東京への憧れから、帆高は島を出て東京へとフェリーで向かったのだと思います。
その証拠に、大したお金も持たず、漫画喫茶でバイト探しから始め、漫画喫茶を引き払って歌舞伎町をぐるぐる歩き回った果にビルでうずくまり、スカウトマン木村に足を引っ掛けられたり・・・と、半ばホームレスのような行き当たりばったりの生活をしています。
⇒【天気の子】ネタバレをラスト結末まで 100%の晴れ女の悲しい運命、帆高と陽菜の選択
新海監督も帆高の家出の理由について、
新海監督「帆高は家出をして東京に出ていますが、その家出の理由を劇中では明確に語っていません。トラウマでキャラクターが駆動される物語にするのはやめようと思ったんです。映画の中で過去がフラッシュバックして、こういう理由だからこうなったんだっていう描き方は今作ではしたくないな、と。内省する話ではなく、憧れのまま走り始め、そのままずっと遠い場所まで駆け抜けていくような少年少女を描きたかったんです」
引用元:映画パンフレット
と語っています。
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父親との不仲は須賀の家出理由ともリンク
もうちょっと深掘りすると、
原作小説では帆高が父親と不仲だったことを思わせる描写があります。
あの日、殴られた痛みを打ち消すように自転車のペダルをめちゃくちゃに漕いでいた。
おそらく、帆高が殴られた相手は父親でしょう。
最初、東京に向かうフェリーで、帆高はほっぺと鼻にばんそうこうをつけています。
あれは、この時父親に殴られた傷だったんじゃないでしょうか。
つい先月まで、誰かに命令されることや押さえつけられることをあれほど憎んでいたのに。
と、おそらく父親は帆高に「ああしろ」「こうしろ」と命令したり、押さえつけたりするような人だったのでしょう。
帆高の大人への不信感は、高圧的な父親への不信感から来ていると思われます。
そしてもう一つ、帆高を拾った須賀も、
夏美「圭ちゃんと一緒じゃん。放っておけなかったんでしょ、自分と似てて」
と夏美が語っているように、
実は須賀は帆高と同じように、10代で東京に家出してきています。
理由は、地元の名家たる須賀家で、優秀な兄のようになれなかったこと。
⇒原作小説でわかる須賀の裏設定!ラスト泣いた理由と薬指の2つの指輪、家出少年だった過去
須賀が自分と帆高を重ねているとすれば、やはり家出の原因となったのは父親でしょう。
で、その須賀が帆高にとって、いわゆる父親殺しの対立軸として登場します。
最後には帆高の味方として警察を足止めしてくれましたが。
最後の結末では父親との関係も変わった
ラスト、帆高が逮捕されて島に戻った後は、良好な親子関係になったのではないかと推測できます。
映画では高校の卒業式で、父親と並んで写っている写真が登場します。
小説でも、
あれほど窮屈だった父も学校も、戻ってみればそこは当たり前の生活の場所だった。僕自身が不完全であるのと同じように、大人たちもまた等しく不完全なのだ。みんながその不完全さを抱えたまま、ごつごつと時にぶつかりながら生きているのだ。僕は、気付けばそれをすんなりと受け入れていた。
と描写されています。
東京での家出経験から、帆高の意識が変わったからでしょうね。