ハゲタカ【大森南朋版】ドラマのあらすじからネタバレ結末まで 鷲津のラスト決断

大森南朋主演のNHK版ドラマ『ハゲタカ』のネタバレあらすじと感想についてまとめています。
外資系ファンドマネージャー、いわゆる「ハゲタカ」として、日本に戻ってきた鷲津政彦が日本の企業を買い叩き、再生へと導いていく物語。
自分の生き方を変えたかつての先輩・芝野との攻防、銀行員時代に自らの貸し渋りで自殺に追いやった三島製作所の娘・三島由香との再会。そして失意のうちに事故死した西乃屋旅館の跡取り息子・西野治。やがて自らも起業家となった治は、鷲津と大企業「大空電機」をめぐり、激しく対立していく。ラスト、何もかも失った鷲津が、それでもハゲタカとしてとった選択とは?
ラストまでネタバレしていますので、結末を知りたくない方はご注意ください。

登場人物&キャスト(俳優)

鷲津ファンド

■ 鷲津政彦(大森南朋)
鷲津ファンド代表。徹底した合理主義で瀕死の日本企業を次々と買い叩いたが、ホライズン社を解雇され、自ら”鷲津ファンド”を設立。
  
■ 中延五郎(志賀廣太郎)
不動産取引のエキスパート。
  
■ 村田丈志(嶋田久作)
裏の情報に通じた調査担当。

■ 芝野健夫(柴田恭兵)
三葉銀行ではエースとして数々の大型案件を担当してきた。しかし、鷲津との再会により自身の仕事に疑問を抱き、銀行を退職。企業再生家としての道を歩み始める。

■ 西野 治(松田龍平)
西乃屋旅館社長。かつて鷲津による買収を受け、父親が非業の死を遂げた。IT長者として鷲津に挑むが、敗北。今は西乃屋旅館を取り戻し、経営者としての敏腕をふるっている。

■ 三島由香(栗山千明)
東洋テレビの報道番組「ニュースナウ」のメインキャスター。鷲津が銀行員時代に父親が死に追いやられたという過去を持ち、鷲津を複雑な思いを抱きながら見つめ続けている。

MGS銀行
■ 飯島亮介(中尾彬)
MGS銀行頭取。芝野の銀行員時代の元上司。銀行経営の暗部を一手に引き受けている。

もっと詳しい人物紹介は⇒ハゲタカ【大森南朋版】の登場人物&キャスト紹介

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ドラマ「ハゲタカ」簡単なあらすじ

瀕死の日本企業を次々と買い叩き、”ハゲタカ”と呼ばれた男、鷲津政彦

かつて銀行員時代に、自らの貸し渋りで小さな町工場・三島製作所の社長を自殺に追いやり、その葬儀で「人殺し!」と娘の由香になじられたことが、彼の生き方を大きく変えた。

当時先輩だった芝野に言われた「資本の論理」。

アメリカに渡り、ファンドマネージャーとなった鷲津は、「サンデートイズ」や「大空電機」といった日本の大企業を次々と買収していく。ビジネスに徹し、徹底した合理主義を貫きながらも、着実に企業を再生の道へと導いていった。

だがその一方で、新たな憎しみをも生んでしまう。非業の死を遂げた「西乃屋旅館」の跡取り息子・西野治。治は自らも起業家となり、鷲津の前に立ちはだかる。

また、銀行を辞め、企業再生家として理想を貫き続ける芝野とも鷲津は度々対立する。

世の中は、金だ。

だが金も地位も、何もかも失った鷲津が、それでも取った選択とは。

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ドラマ「ハゲタカ」詳細ネタバレをラスト結末まで

1話:日本を買い叩け!

プールに浮かび上がる大量の金と、血。
撃たれて病院に運び込まれたのは、鷲津政彦36歳。

鷲津「誰かが言った。人生の悲劇は2つしかない。ひとつは、金のない悲劇。もう1つは。金のある悲劇。世の中は金だ。金が悲劇を生む」

悲劇の全ては、9年前に始まった。

***

1998年。

投資会社「ホライズン・インベストメント・ワークス」に来て5年。20億ドル8件の投資に成功した鷲津は、その買収実績を買われ、「ホライズン・インベストメント・ジャパン」の代表に就任した。

目的はひとつ、”日本を買い叩く”こと。

手始めに、鷲津はかつて勤めていた三葉銀行のバルクセールに名乗りを上げる。

バルクセールとは
回収困難な不良債権を投資会社に一括でまとめ売りする取引き。

銀行側の担当者は、鷲津の元上司・芝野健夫だ。「お久しぶりです、芝野さん」とあいさつする鷲津に、驚く芝野。

このバルクセールに名乗りをあげたのが、ホライズンジャパンだった。担当の芝野は、代表の鷲津たちを出迎える。安く買い叩いて高く売る、血も涙もない外資のハゲタカファンドと聞いていたが、社員はみな愛想も良く、礼儀正しかった。 

今回のバルク47件の不良債権、額面総額は723億6458万円。三葉サイドは最低売却価格を410億と算出していた。「守ってもらえるか」という問いに「徹底的してフェアな査定をする」と返す鷲津。常務の飯島は、値段によっては売却しないこと、その場合ホライズンの日本での信用にかかわると脅しをかける。

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芝野は、三葉時代の鷲津の経歴を洗い始める。丸の内支店で芝野が次長時代、鷲津は法人営業を担当し、半年ほど一緒になっていた。鷲津は三葉を2年で辞め、その後アメリカへと渡っていた。

当時の鷲津は外回りの営業、いわゆる”兵隊”だ。「三葉で務まらなかった奴だ。大したことはないだろう」と楽観視する役員たち。

芝野は鷲津と個人的に接触し、瀕死の三葉を何とかするためにも「公正な値段をつけてほしい」と頼む。世界基準で見た時、今の日本の不良債権が一体いくらの価値があるのか、まずそれを知ることが必要だと。痛みを伴っても、バブル時代の膿を出し切るべきだという芝野。

去り際、鷲津は

鷲津「覚えてますか?あの時、僕に言ってくれたあの言葉」

と問い掛けるが、芝野は覚えてはいなかった。

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社に戻って資料の検討を始めた鷲津は、「舐められたものだな」と吐き捨てる。ホライズンのリストになかった債権もかなり盛り込まれていたのだ。回収は絶望的な政治家や闇企業絡みの債権だ。鷲津は追加された債権は飯島の差し金とにらみ、村田に調査を依頼する。

バルクのメリットは、売り手と買い手が秘密保持契約を結ぶ点だ。バルクの中身、つまり飯島の判が押された政治家や暴力団絡みの債権も、決して外に漏れることはない。「飯島とビジネスがしたい」と申し出る鷲津。「何様のつもりだ」という飯島に、鷲津は

鷲津「助けに来たんですよ、瀕死の三葉を。いや、瀕死の日本を、かな」

と答えるのだった。

2週間後、バルクセールの精査結果が出た。

精査は、不動産担保物件だけでなく、実際の債権の返済履歴もチェックする。53件の案件のうち、値段がついたのが13件。値段がつかない物件の査定額は1円というのが慣例だ。

額面総額1023億1280万円に対し、買取価格は93億1047万41円。額面総額のわずか9.1%の査定に、三葉サイドは憤慨する。

1円がついているのは、修繕費が莫大で返済原資のないホテル、反社会的勢力が所有者となっている一等地の商業ビルなど、全て債権回収は不可能と判断せざるを得ない案件だ。

さらに、ナンバー24から42は、いずれも自分で返済せずに三葉の系列のノンバンクが返済金を融資している、いわゆる「飛ばし」だったことまで、鷲津は見抜いていた。

飛ばしとは
含み損が生じた資産を 一時的に高値で転売し損失を隠すこと。

鷲津が抱き込んだ飯島の主導で、三葉サイドはタダ同然の価格を了承する。鷲津のやり方に激しく反発する芝野。

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鷲津は手に入れた債権の案件No.50「旅館 西乃家」の査定に訪れる。「西乃家」は安政3年創業の老舗旅館だが、バブル時代の銀行による過剰融資を受け、ゴルフ場などの事業を拡大。結果、バブル崩壊後に莫大な負債を背負っていた。

鷲津は、経営悪化の原因は現在の5代目社長・西野昭吾の経営手腕に尽きると判断。昭吾を解雇し、新たな経営者による再生プランを考えていた。

鷲津はそこで出会った昭吾の息子・治に、経営の才覚を見出す。だが治は、「オヤジのような生き方はごめんだ」と旅館を継ぐ気は全くなかった。

3日後。
査定の結果を伝えるため、鷲津は再び「西乃家」を訪れた。183億の借金をチャラにする代わりに全てを手放すか、旅館を手放さない代わりに2週間で2億用意するか。

旅館を手放さないと言い張る父親の経営手腕を、治は激しく責め立てる。

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「西乃屋」から帰社した鷲津は、三島由香に突撃取材される。警備員に静止されながら、「あの時、あなたの流した涙は本物だったんですか」と叫ぶ由香。

鷲津にのしかかる過去。由香の父親は小さな工場を経営していたが、三葉銀行時代の鷲津の貸し渋りにより、自殺に追い込まれていた。葬儀に現れた鷲津を、由香は「帰れ人殺し!」と追い返す。鷲津はその場に土下座して泣きながら謝罪するが・・・。

由香は東洋テレビの経済記者となり、鷲津を執拗に取材しようとしていた。

一方、金策尽き果てた昭吾は、ホライズンを訪れ期限の延長を鷲津に嘆願するも、既に鷲津は「西乃家」の債権を売却していた。

その帰り道、憔悴しきった昭吾は「お前に任せれば良かったのかな」と言い残し、道路にふらふら飛び出してトラックに轢かれ亡くなってしまう。

「俺が親父を殺した・・・」と呆然とする治。

昭吾の死に、芝野は鷲津を責める。昔は情に厚かった鷲津が、いつから変わってしまったのか。

鷲津「あなたですよ。あなたが私を変えたんだ」

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2話:ゴールデン・パラシュート

西野の葬儀でお焼香した芝野は、一家の大黒柱を亡くし、息子の治も行方不明という西野の妻・史子を心配して声を掛ける。しかし、史子からは「もう二度と現れないで欲しい」と突き放された。

買収ビジネスに乗り出した鷲津は、次のターゲットとなる玩具メーカー「サンデートイズ」の70周年謝恩パーティーに出席していた。そこには芝野の姿もあった。

サンデートイズは、一族が会社を私物化するオーナー企業と化しており、芝野はメインバンクとしてサンデートイズの再建に奔走していた。

再建のネックは、経営を一手に握っている大河内ファミリーだ。現社長の大河内瑞恵は会社を私物化し、自身の洋服代、飲食代、遊興費その他、月々数百万を会社の経費として計上していた。

そんなサンデーを買い叩くため、鷲津は債権を買い占める行動に出る。サンデートイズの債権総額は500億円。メインバンクの三葉銀行が150億、その他の地銀が350億だ。ホライズンはその他の債権を買い取り、最大債権者になることに。

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芝野は大河内宅を訪れ、会社私物化の改善を求めるも、瑞恵は全く聞く耳を持たない。社長宅の名義はサンデートイズで社宅扱い、光熱費は会社に請求し、高価な商品を会社名義で購入とやりたい放題の瑞恵に、芝野はその体質を改めて欲しいと伝える。

そこへ、最大債権者となった鷲津たちホライズン一行が現れた。鷲津は一族が経営から退く条件で、債権を放棄すると伝える。怒った瑞恵は、鷲津たちを追い返した。

由香に借りがあるという沼田に頼まれ、芝野はサンデーについて由香の取材を受けることになった。由香はホライズンがこの件に絡んでいること、鷲津が芝野の部下だったことも知っていた。そして、西乃屋の一人息子・治の居場所を教え、去っていく。

芝野は社長を切り、破産する前に民事再生を申請するプランを飯島に提案。大河内色を一掃すれば、興味を持つスポンサーも出てくるだろうという考えだ。しかし飯島は、話にならないと却下する。

一方、鷲津はサンデーをアポなしで訪れ、社長と会いたいと債権仮差押命令申立書を見せる。破産したくなければ経営から退けと迫る鷲津たちに、「あなたからお金を借りた覚えはない」と抗う瑞恵。

鷲津「借金にチンピラも国籍も肌の色も関係ない。あるのはただの金だ。借りたお金は返す、これは万国共通です。子供でもわかることだ」

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自分の執務室に戻った鷲津は、三島由香の父親が経営していた三島製作所のことを思い返していた。7年前、まだ鷲津が三葉の行員だった頃、三島製作所で1本のネジを探していた。

親父さんからビールをもらい、乾杯する。そこへまだ高校生だった由香が帰ってきた。三島家と家族ぐるみの付き合いをしていた鷲津。だが銀行が命じた貸し渋りが全てを変えた。

芝野から、サンデーから新しい提案があったため、会いたいと連絡が入る。鷲津が向かうと、芝野は瑞恵の息子・伸彰を連れて来ていた。

サンデーの提案は、現経営陣は留任、社長の社宅は継続使用、ホライズンの債権は三葉銀行が三掛けで買い取るというものだ。

これに対し鷲津は、「馬鹿にしてるのか」と憤る。そんな条件ではサンデーの再建はできないと断り、社長の乱脈経営は特別背任で告訴される可能性もあると伝える。さらに、ゴールデン・パラシュートと呼ばれる札束攻勢を仕掛けた。

ゴールデン・パラシュートとは
業績不振企業の経営者に与えられる巨額の退職手当。これを受け取らせることによって、買収を認めさせるなど、駆け引きに使われる。

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3億程度で社長が引き下がるわけがないという伸彰に、鷲津は

鷲津「だからこそ、伸彰さんから社長を説得して頂きたい。成功した暁には伸彰さんにもこの金額、3億円ご用意させて頂きます。プラス、社長の座」

と告げる。
この鷲津のゴールデン・パラシュートを、芝野は

芝野「札束で引っぱたいて、人の誇りを踏みにじるのがお前のやり方か。そんなやり方で本当に会社が再生すると思っているのか」

と激しく批判する。

鷲津「あなたが言ったんじゃないですか。7年前のあの日、私が貸し渋りをして、三島製作所の社長を追い詰めて、社長が自殺をした。泣いている私に、あなたが言ったんじゃないですか。『しょうがないだろ、日本は資本主義なんだから』って」

自分の一言が鷲津の生き方を180度変えてしまったことに、芝野は驚きを隠せない。

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「西乃屋旅館と同じようにサンデーを料理する」という鷲津に、芝野は治のことが気になり、由香からもらったメモにあった工事現場を訪ねた。

芝野は治に傘を差し出し、何か力になれることがあればと申し出る。ならば会社を立ち上げたいから300万を貸してくれるかと尋ねられ、答えられない芝野。

西野治「できないじゃん、何もできないでしょ?どうせ。俺恨んでないよ。しょうがないでしょ、やっぱサラリーマンなんだもん。あ、そこにいても邪魔なだけだから」

芝野は途方もない無力感を抱えながら、帰路に着く。

2週間後。鷲津が指定した期限の前日、未だ伸彰から連絡はなかった。そして、サンデーの取締役会では代表取締役社長の解任動議が提出された。動議に賛同する者が次々と立ち上がり、社長は解任され、伸彰が新社長となった。芝野が

芝野「ホライズンを出し抜きます」

と飯島に宣言、反社長派を取りまとめたのだ。三葉の名前は表に出さず、あくまでサンデー内部で起こるクーデターとして。芝野に出し抜かれた鷲津は、悔しげに窓ガラスを叩きつけた。

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3話:終わりなき入札

瑞恵が社長を解任され、今後は三葉銀行がバックのファンド会社・アイアンオックスがスポンサーとなり、民事再生して会社を再建させることになった。

一方、ホライズンがサンデートイズの最大債権者としてスポンサーに名乗りを上げるため、鷲津は合同質問会を開いていた。企業買収は外資ファンドによる単なる金稼ぎではないのかと、由香の上司である野中から揶揄され、鷲津は

鷲津「お金を稼ぐのがいけないことでしょうか?私がやろうとしていることは、ルールに則った正当な企業再生です。その結果得られる正当な報酬に、何か問題があるんですか。日本は資本主義社会でしょ?そこに何か問題があるんですか」

と憤る。

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ワイドショーに出ている瑞恵の姿を見た鷲津は、社宅を追い出され、ホテルのスウィートに宿泊している瑞恵に会いに向かった。瑞恵に「もう一度社長に戻る気はないか」と尋ねる鷲津。

鷲津が瑞恵を担ぎ出したことで、サンデーのスポンサー選定は入札によって決定することになった。方法はサドンデス方式、一方が入札価格を示し、相手側は20分以内にそれ以上の額を提示し、どちらかが入札できない時点で終了する。

入札当日。どうしても社長の座を勝ち取りたい瑞恵は、鷲津に息子が専務の百瀬と会社の金を横領していたと証拠を提供する。

鷲津はそのスクープをそのまま由香に流し、裏取りをするよう頼む。しかし由香は、この情報を流せば、今度の入札にホライズンが有利になることに躊躇する。そんな由香に、鷲津は「君は銀行を憎んでいるんだろ」と追い打ちを掛けた。

由香から資料を見せられた芝野は、その真偽を飯島に尋ねる。飯島は事実だと認めた上で、リークを握り潰すよう命じた。

芝野は由香に、スクープは事実ではないと苦渋の表情で伝える。由香は、自分の父は鷲津に貸し渋りにあって自殺した三島健一だと告白する。しかし芝野は、

芝野「お父さんのこと忘れたことはありません。ただ私は銀行を守る立場の人間です。私は銀行員です」

と答えるのだった。

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午後5時、入札が開始。最低入札額は120億、上乗せする金額は最低1億だ。最初の入札はホライズンの121億円から始まった。ここからは両陣営が出せる金額をいかにしてかき集めるか、心理的な駆け引きが要求されてくる。

金額を跳ね上げ続ける三葉に対し、1億ずつ刻んでくるホライズン。一進一退の入札の攻防が繰り広げられ、開始から6時間が過ぎた。両陣営共疲労の色が見えるが、どちらも勝負を下りるつもりはない。

ホライズンが187億を提示した直後、三葉側から189億の提示が出された。ホライズンの上限は190億だ。アランは本国への交渉を申し出るが、鷲津は「無駄だ」と切り捨てる。

鷲津はニュースを待ち続けていたが、まだ流れない。由香は裏取りに苦戦していた。

一方、「社長業はたまらない魅力だ」と語る伸彰の狂気に、芝野は部屋を出た。震える手で自販機に金を入れ続ける。由香の声がこだました。

三島由香「何をやってるんですか。あなたたち、何をやってるんですか。本当にそれでいいんですか!」

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午後11時58分。ついに、テレビからサンデーの新社長・伸彰が会社の金を着服したニュースが流れた。由香に、芝野が証言したのだ。

アイアンはスポンサーを降りた。勝利に沸くホライズン陣営。鷲津は一人、複雑な表情でニュースを見ていた。

その頃、由香はファミレスで西野治と会っていた。ホライズンの味方をしてしまったと落ち込む由香を、

西野治「あんま深く考えんなよ。いい仕事したんだから、いいんだよ」

と励ます治。そんな治は深夜労働で貯めた金を元手に、IT株を売り抜け、300万円を得ていた。その300万円で起業し、鷲津に勝負を仕掛けるという。

また社長の座に就くつもりでいた瑞恵は、ホテル暮らしのために宿泊料を滞納していた。担保もない瑞恵は自己破産するしかない。だが自己破産すれば、代表取締役にはなれない。それこそが鷲津の狙いだった。

芝野は企業を売買するマネーゲームへの反感から、自社に不利な情報提供の責任を取って、銀行を辞職した。

芝野「私は44です。人生の折り返し地点はとっくに過ぎています。ですが残りの人生、自分に言い訳しながら生きていくには長過ぎます」

銀行を辞めた芝野を、鷲津は「一緒に日本を買い占めましょう」と、ホライズンに誘う。だが芝野は「俺はお前とは違う」とこの誘いを断った。

鷲津「同じですよ。あなたは、私なんだ」

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4話:激震!株主総会

2004年。
ホライズンの米国本社を訪れた鷲津は、クラリス会長から「大空電機」の買収を命じられる。

ホライズンの狙いは大空電機のX部門のみ。大空電機を獲ったら、X部門をレンダント社の軍需部門に売却する計画だ。レンダントは大空電機の技術により、衛星からの映像も精度が上がり、顔のシワまで判別できるようになる。

鷲津は既に大空電機買収に向けて動き始めていた。大空電機の株を一気に買い占め、8%以上を取得し、筆頭株主となった。

一方、芝野は執行役員として、大空電機社の再建を社長の塚本から依頼されていた。

芝野は大空電機の再建計画として「フェニックス計画」を考案。かつて日本の企業の代名詞とも言われた大空電機も今や赤字まみれ。芝野は大空電機を再生させるためには、人員削減もやむを得ないと考えていた。

だが大木会長は、芝野の案を一蹴し、3か月以内に作り直しを命じた。

実は、芝野に期限として与えられた3か月は、大木会長の余命だった。大木会長は末期癌を患っていたのだ。

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鷲津は芝野と塚本社長に、大空電機の再建計画書を手渡す。その中身は、レンズ事業部の売却と付属する工場の閉鎖、さらに1万人の人員整備というものだった。

筆頭株主として工場見学を行うホライズン一行に、気が気でない社員達は鷲津に詰め寄る。怒号が飛び交う中、大木会長が現れた。

鷲津「我々は筆頭株主です。会長、会社は株主のものであるということを、お忘れではないですか。今の日本で大空を立て直す金と力があるのは、我々だけです」

大木会長は、そんな鷲津の提案を「余計なお世話というもんだ」と一蹴する。

芝野は鷲津に、今度の株主総会で言いたいことを主張するよう告げる。会長も芝野の提案に、「総会の場で戦うことにしよう」と同意した。

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株の買い占めを強行する鷲津。株主総会での議決権争奪戦に勝利するため、いわゆる「プロキシーファイト」を行っていた。

プロキシーファイトとは
敵対的買収において、企業の経営支配権を獲得するための手段の一つ。

ホライズンは株主提案として、ホライズンが選んだ11名の取締役の選任を求めており、この提案が通れば取締役会の過半数を占めることとなり、実質経営権を掌握できる。

そんな鷲津に由香が取材を依頼、鷲津はこれを引き受けた。しかし取材の最中、再建計画のあるリストを目にした由香の顔が曇る。

由香の表情が気になった鷲津は、カメラ・レンズ事業部の資料をチェックする。すると売却予定工場一覧に、三島製作所の名前があったのだ。

中延に頼んだ調査で、三島製作所のその後が判明した。三島製作所は三島健一が自殺した後、一度倒産に追い込まれたが、大木会長によって救われ、現在はカメラ・レンズ事業部の下請けとして操業を続けていた。

だがホライズンの計画では、三島製作所は真っ先に売却されることになる。鷲津は激しく動揺する。

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大空電機の買収に手間取る鷲津にクラリスはしびれを切らし、「失敗したらこの業界では生きていけなくなる」と宣告する。

そんな中、鷲津は大木会長に呼び出され、会長宅を訪れた。かつての鷲津と三島製作所とのいきさつを聞いた会長は、鷲津に

大木会長「やり直したかったのかね、それともその時の自分を塗り潰したかった?」

と尋ねる。鷲津は会長の指摘を認めた上で、

鷲津「家族主義という耳障りのいい言葉で、何もしないで立ち止まっている。そんな経営者を、私は認めない」

と告げた。

大木会長「やり直したいんなら、何もやらないことだよ」

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株主総会の前夜。
大木会長はレンズ事業部の工場を訪れ、一人粛々とレンズを磨く加藤に尋ねる。40年、レンズを磨いてきて、拠り所としてきたのは何だったのか。

加藤「会長、覚えてますか。私が入社したのは東京オリンピックの年だった。入社式で『レンズを磨くことがこの会社の原点だ』とおっしゃった。私にとっては、今でも何も変わってません。変わったのは会社の方ですよ」

一方、鷲津は雨の中、傘もささずに三島製作所を訪れていた。そこには大空電機の庇護のもと、細々と経営を続ける由香の母親らの姿があった。

足元には、ネジが一つ落ちていた。かつて、三島健一と自分とをつないだネジ。だが自らの貸し渋りで、彼を死に追いやった。このままでは、息を吹き返した三島製作所を、再び潰してしまう。

鷲津は深い苦悩を抱えたまま、株主総会に臨むこととなった。

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株主総会当日。
大木会長の容態が急変し、会長不在のまま総会は開始されることになった。

今回の審議について、大株主であるホライズンから提案がなされる。鷲津は努めて合理的な観点から、主張を展開する。高度経済成長期のシンボルであり、誇りだった大木会長は既に舞台から去ったと。

鷲津「大木会長と共に、古き良き日本型経営もまた、終わりを告げた。大空電機は、いや、日本の企業は生まれ変わらなくてはいけないのです」

鷲津の株主提案に対し、芝野は議長である塚本に発言を求めた。芝野は、鷲津の提案への解答として、大木会長から託された手紙を読みあげる。

大木会長「株主の皆様、あと3年、時間をください。3年で、大空電機は変わる。残念ながら、私にはそれを見届けることは難しそうです。株主の皆様、どうか私の代わりに、大空を見ていてください。私が死んでも、大空電機の魂は死にません」

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そこへ、大木会長が亡くなった知らせが入った。芝野は会長が手直しした「フェニックス計画」を手に、3年の猶予をくれるよう訴え、大空電機の再生と大木会長が物づくりに託した夢と希望を取り戻すことを宣言する。

会場に満場の拍手が沸き起こった。株主総会の様子を見ていた従業員たちの間にもだ。勝負は情に訴えた芝野が、総会を制した。鷲津の完全な敗北だった。

満場一致で第一号議案は会社側提案の承認、株主提案は否決された。鷲津はすぐさまTOBの準備に取り掛かるべく、会場を後にした。だがそこへ、西野治が現れた。

西野治「お久しぶりです。ハイパークリエーションの西野治です。その節はどうも」

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5話:ホワイトナイト

株主総会を「とんだ茶番だ」と吐き捨てた西野治は、鷲津に「手を組まないか」と持ち掛ける。

西野が代表取締役を務めるハイパークリエーションは年商3,000億円の会社に急成長を遂げ、大空電機の株を5%近く保有していた。しかも、バックにはMGS銀行の飯島がついている。

しかし鷲津は、この申し出をあっさり断り、大空電機にTOBを実施することを正式に発表した。

TOBとは?
株式公開買い付け。
会社の経営権の獲得などを目的に、株を買い集める行為。

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焦る塚本に、飯島から増資をしたいと連絡が入る。そこで飯島は、西野を塚本と芝野に紹介した。ホライズンのTOBに対し、ハイパーがホワイトナイトになるというのだ。

ホワイトナイトとは?
敵対的買収に対抗して、企業を守るための友好的買収を行う会社。

一方、鷲津はTOBと同時に、買収後の提携先として、裏で中国の大手電機メーカー「テクスン」と交渉を始めていた。三島製作所を救うための行動だが、アメリカ本社の意に反する鷲津の動きに、中延は懸念を隠せない。

西野は塚本に、ホライズンが経営権を獲れば、まっさきに首を切られるのは塚本だと揺さぶりを掛ける。鷲津は現経営陣を一掃し、後任に芝野を推すだろうと。それを聞いた塚本は激しく動揺する。

そして、役員会議でハイパーとの業務提携を前向きに検討すると発表。それを不安視する芝野の声に、全く耳を傾けようとしない。

西野は1470円で大空電機へのTOBに踏み切ると発表する。それを聞いた鷲津は1570円で対抗する。

由香がキャスターを務める番組「プライム11」に出演し、なぜホワイトナイトに名乗りを上げたのかを語り始めた。そこで彼は、自分の父が鷲津に追い詰められて死んだと訴え、さらに、由香の父親も鷲津に殺されたと暴露する。

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西野のテレビ出演後、ホライズンには抗議の電話が殺到し、ホームページのサーバーもパンク。鷲津あての郵便物の中には、銃弾までも入っていた。

芝野はハイパーに果たして大空電機をTOBをする力があるのか、疑問を口にする。しかし、西野から脅されている塚本は、ハイパーのバックにはMGS銀行がついているから大丈夫だと信じて疑わない。

鷲津は、ホライズン本社から目的はあくまでレンズ部門なんだから、レンズ部門だけ買えと命令される。それは出来ないと返す鷲津は、非難を浴びる。

西野がTOB価格を1670円に引き上げた。芝野は業務提携の内容を確かめに、西野を訪ねた。そこで芝野は、「お父さんの弔い合戦のつもりなら止めた方が良い」と忠告する。

鷲津は西野と直接対決するため、「プライム11」に出演した。そのCM休憩中、鷲津はニューヨーク本部から連絡を受け、その場で解雇を言い渡されてしまう。

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この瞬間、軍配はハイパークリエイションに上がった。

後任にはアランが着任した。大空電機はハイパー社と業務提携することに。しかしその2週間後、ハイパー社にインサイダーの容疑で東京地検特捜部の強制捜査が入る。

ホライズンを解雇され、漫然と過ごしていた鷲津の前に、西野治が現れた。治はカバンに入っていた金をばら撒き、さらに鷲津に銃を突き付ける。

治「終わりだな。俺もあんたも。結局、俺達も金に振り回されただけなのか?」

鷲津は治に「撃てよ」と告げる。その姿に、治は自らの手で死を選ぼうとする。鷲津はそれを止めようとして誤って撃たれ、プールへと転落した。

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最終話(6話):新しきバイアウト

銃弾によって足が不自由になった鷲津。それと共に大空電機もまた崩れ落ちようとしていた。

ホライズンと業務提携せざるを得なくなった大空電機には、ホライズン側から新しい取締役として大賀康男が就任した。芝野に認められたのは、コストカッターとしての手腕だけ。大空電機では赤字部署が次々と身売りされていき、芝野は従業員の攻撃の矢面に立たされてしまう。

保釈された治と会う由香。彼は2億円で保釈されていた。由香はお父さんが必死で掻き集めようとしていた2億円と治が保釈のために使ったお金では全く価値が違うと言う。

懸命なリハビリを続ける鷲津を訪ねる芝野。レンズ事業部を救いたい想いで、もう一度ファンドをやらないかと協力を仰ぐ。
すると鷲津は、鷲津ファンドを立ち上げると返す。

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鷲津のためにこっそり大空電機の資料を集める芝野。鷲津はレンダントの狙いが主任の加藤であることを知る。鷲津はエンプロイー・バイアウト(EBO)を狙う。

EBOとは
従業員による企業買収。

スポンサーを探す鷲津。しかし、墜ちたハゲタカに対して周囲の目は厳しい。そして鷲津は飯島にも会い、レンズ事業部を海外に売り渡すことは大事な技術を流出させ、国益を脅かすことにもなりかねないと言う。

誰もいない教会で、鷲津は西野と会う。もう一度戻ってこいと、西野を励ます。

芝野と鷲津は大木会長の墓に詣でる。そこに由香が現れる。新しい会社に是非参加させて欲しいと、彼女は母から託された資金を託す。

その夜、レンズ事業部の主任・加藤と会う鷲津。自分と芝野に賭けてくれないかと、加藤を説得する。

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大賀にレンダント社の買収が暗礁に乗り上げたとの知らせが入る。経済産業省が日本の技術が海外に移転し、軍需産業に使われる恐れがあると不快の念を示したからだ。

ホライズンに鷲津ファンドが新たな提案を行う。EBO、従業員が資金を出して新たな企業を立ち上げることだ。そして、レンダント社にレンズ部門を売却された場合、退職を希望するリストの筆頭に、売却に不可欠な主任・加藤の名があった。

特級技術者のいないレンズ事業部は、レンダントにとっては意味をなさない。ホライズンとレンダントとの間で交わされた契約のキーマン条項は加藤の存在が不可欠だ。さらに、鷲津はEBOの成果を実らせるため、新会社の社長に芝野を指名する。

鷲津が向かったのは三島製作所だ。由香の親父さんの遺影に、手を合わせた鷲津。

鷲津「ようやくご報告できそうです。あれからの私を」

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ハゲタカ感想

金を武器にしている男たちが、金じゃない何かを守りながら戦う。

それが最高に面白いところです。

1話

 

2話

 

3話

 

 

4話

そしてラストはよもやの西野治。
次から次へと、呪いのように。
鷲津が心底苦悩しているのは十二分に伝わってくるので、もうやめてあげてくれ・・・!!

5話

 

 

6話