ブラックペアン原作小説ネタバレあらすじ 渡海の復讐劇ラスト結末は?

海堂尊の小説『ブラックペアン1988』ネタバレあらすじと感想についてまとめています。
佐伯外科に入局したばかりの1年生外科医、世良雅志のオーベンとなったのは、帝華大学からやって来た高階だった。高階は困難な食道癌の手術が簡単に行えるという「スナイプAZ1988」を引っ提げ、佐伯外科に一石を投じようとする。そんな高階と真っ向から対立する、”オペ室の悪魔”渡海。
渡海は17年前に東城大学を追われた父親の復讐を果たすため、佐伯外科の崩壊を目論んでいた。
二宮和也主演でドラマ化される『ブラックペアン』元ネタの原作小説はどんな内容なのか?
渡海の復讐劇をラストまでネタバレしていますので、結末を知りたくない方はご注意ください。

登場人物&ドラマキャスト

■ 渡海征司郎(二宮和也)
ヒラでは最年長の医局員。天才外科医だが、手術職人で不真面目で普段は手術室の外科控え室でゴロゴロしている。通称”オペ室の悪魔”。佐伯教授とは父親のことで浅からぬ因縁がある。

■ 世良雅志(竹内涼真)
佐伯外科に入局したばかりの新米医師。サッカー部に所属し、「俊足サイドバック」として名を馳せていた。

■ 佐伯清剛(内野聖陽)
総合外科学教室教授。日本を代表する外科医。専門は腹部外科(食道癌)。手術の時は器械台に黒いペアン「ブラックペアン」を用意している。

■ 高階権太(小泉孝太郎)
帝華大学から招聘された講師で、世良のオーベン。通称帝華大の”小天狗”。専門は消化器外科(直腸癌)。食道自動吻合器「スナイプAZI1988」で外科医の技術教育を変えようとしている。後の東城大学病院長。

■ 黒崎誠一郎(橋本さとし)
助教授。総合外科学教室からの独立を狙っている。

■ 垣谷雄次(内村遥)
助手。サッカー部の先輩で、世良を佐伯外科に引っ張った。専門は心臓血管外科で、後に「チーム・バチスタ」のメンバーとなる。

■ 関川文則(今野浩喜)
佐伯教授の医局員。

■ 北島達也(松川尚瑠輝)
世良の同期。目端が利き、上司からの信頼を得ている。

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手術室スタッフ

■ 藤原真琴(神野三鈴)
手術室兼ICU婦長。器械出しは佐伯教授が認める腕前。バチスタシリーズでは名取裕子が演じている。
  
■ 猫田麻里(趣里)
主任。藤原が「ネコ」と呼ぶ愛弟子。病院のいたるところでシエスタという名の昼寝をしている。
  
■ 花房美和(葵わかな)
新米看護婦。後の救命救急センター看護師長。『ジェネラル・ルージュの凱旋』では白石美帆が演じている。速水に想いを寄せていたが、『ブラック・ペアン』では世良といい感じ。

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臨床実習に来た学部生

5日間のベッドサイド・ラーニングで世良が面倒を見ることになった、学部2年生の3人。未来の東城医大を背負って立つメンバー達。
  
■ 田口公平(森田甘路)
後の特別愁訴外来通称”愚痴外来”の責任者。お人好しで他人を疑うことができない。血が苦手。バチスタシリーズでは伊藤淳史が演じている。
  
■ 速水晃一(山田悠介)
後の救命救急センター部長、通称”ジェネラル・ルージュ”。『ジェネラル・ルージュの凱旋』では西島秀俊が演じている。
  
■ 島津吾郎(岡崎紗絵)
後の放射線科助教授。ドラマ版では「島津塔子」と女性になっている。『アリアドネの弾丸』では安田顕が演じている。

帝華大学
■ 西崎啓介(市川猿之助)
帝華大学教授。

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ブラックペアン1988ネタバレあらすじをラスト結末まで

起:帝華大からの刺客、高階

「神の手」を持つ佐伯教授が君臨する東城大学総合外科学教室に入局したばかりの新米医師、世良雅志。
世良のオーベン(指導医)となったのは、帝華大の「ビッグマウス」こと高階だった。

高階は佐伯外科に「スナイプAZI1988」という新兵器を手土産に持ち込む。
「スナイプAZI1988」を使えば、誰でもリーク・ゼロの食道切開術を実施できるという。
外科医の技術教育を変えようとする高階に、技術重視の佐伯と渡海は真っ向から対立する。

佐伯の挑戦を受けて立った高階は、癌患者に対する告知がタブーとされていた時代に患者に食道癌を告知し、スナイプを用いた手術を成功させる。

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7月、学部2年生の田口、速水、島津ら3人が、5日間のベッドサイド・ラーニングにやって来た。
3人の指導を任された世良は、高階に翻弄されつつも少しずつ外科医として成長していく。

一方、渡海は水面下で動き始める。
サンザシ薬品の木下にスナイプについて探らせていた。
だが治験申請に関して穴は見つからず、「帝華大の阿修羅」こと高階のスナイプはリーク頻度も低く抑えられていた。

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承:渡海の父親と佐伯教授の17年前の因縁

世良のミスをカバーし、手術を成功させた渡海は、自分の指導を受けてみないかと世良に告げた。

渡海の妖しい魅力に惹かれていく世良は、高階とは全く異なる、渡海の癌告知を目の当たりにする。
渡海の手術に助手として入った世良は、胃亜全摘術において最も重要な過程である左胃動脈の結紮を任される。
しかし、結紮には失敗してしまう。

渡海「はい、世良ちゃん、患者を一人殺しちゃったねえ」

外科医を辞めようとする世良。
しかし高階の言葉に踏みとどまり、病棟に復帰する。

一方、世良は渡海から、
17年前の佐伯と渡海の父親・渡海一郎の確執について聞かされる。

極北大出身だった渡海一郎は、渡海が極北大医学部に入学する直前、東城大学医学部の内科に招かれる。
現在高階が使っているIVH(中心静脈栄養輸液)は、実は渡海一郎が確立した技術だった。
渡海一郎はIVHを東城大学に導入しようとしたが、先代の外科学教室の大林教授に睨まれる。
そんな中、IVHを積極的に使い始めたのが、当時助教授の佐伯だった。

しかし、渡海一郎と佐伯の協力関係はある事件をきっかけに崩壊してしまう。

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国際学会の発表で佐伯が病院を留守にする中、申し送られていなかった患者が緊急で外来受診する。
患者の名は飯沼達次。
飯沼達次の腹部には、なんとペアンが置き忘れられていた

担当医不在の中、渡海一郎は大林教授に再手術を直訴するが、佐伯からペアンの留置について報告を受けていた大林教授は、再手術を渋る。
佐伯の了承さえあれば再手術、というところまでこぎつけた時、
佐伯から「飯沼氏のペアン摘出すべからず」という電報が届く。
大学病院での立場を失った渡海一郎は、県外の関連病院に飛ばされてしまった。

天才外科医でありながら、渡海がヒラの医局員として10年も佐伯外科に身を置き続けていた理由は、父親の復讐が目的だったのだ。

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転:”オペ室の悪魔”渡海の復讐

佐伯は高階の覚悟を試すべく、
無謀にも関川を術者に、若手外科医のみでのオペを命じる。
案の定、関川のスナイプ操作ミスにより吻合不全が起きるが、
世良の喝で目が覚めた高階が手術に加わり、何とか事なきを得た。

失敗症例がないからスナイプを黙認していると言っていた佐伯の真意は、高階を来る病院長選挙の参謀とすること、
さらには高階を自分の正当な後継者として育てることだった。

病院長選挙を目前に控えた11月。
国際学会の招待講演のため、教室から多数の医師を引き連れ、極北に向かう。
病院に残ったのは、高階、渡海、関川、青木、世良の五名。

渡海にとってこれは千載一遇のチャンスだった。
佐伯の留守を狙いすまし、渡海は飯沼達次を入院させ、緊急手術を決行する。
17年前の父親の復讐を果たすために。

電話で世良から緊急手術の報告を受けた佐伯が手術を止めるが、

渡海「もう遅いんだよ。親父が見つけた医療ミスの証拠を、時を経て息子の俺が取り出し、あんたのミスを明らかにしてやる」

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結:17年前の医療ミスの真相

ついに飯沼達次の体内からペアンを取り出した渡海と高階。
しかし、ペアンを取り出した途端、出血が始まる。
高階が危惧した通り、ペアンの留置は見落としではなかったのだ。

極北から急遽駆けつけた佐伯は、渡海に謝罪する。
渡海一郎との一件は不幸な行き違いだったと。

渡海が佐伯の医療ミスだと考えていたペアンの留置は、実は医療上のやむを得ない措置だった。
17年前、佐伯は仙骨全面静脈叢からの出血を止められず、やむを得ずペアンを体内に留置したまま閉腹していたのだ。

しかし、ペアンの留置を患者と家族に納得させる自信がなかったため、状態を伏せて退院させた。
その後いくつもの不運が重なり、事態はこじれてしまう。
佐伯の海外学会中に、年に一度の術後検査だけの飯沼が腹痛で入院したこと。
そしてスペインの田舎町に滞在していたため、国際電話を掛けるもなかなか連絡が取れなかったこと。
帰国した時には、既に渡海一郎は大学病院を追われていた。

だから佐伯はブラックペアンを手術器具に入れた。自身への戒めとして。

佐伯「ブラックペアンを使う時が来たら、それは私が外科医を辞める時だ、と覚悟していた」

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佐伯は渡海一郎を探したが、見つけ出すことはできず、離島の医師になっている聞きつけた時には、渡海一郎は既に他界していた。
渡海一郎の罪滅ぼしに、佐伯教授は渡海を自身の教室に引き受ける。
自分の手で渡海を一人前の外科医に育てるために。

佐伯「お前を外科の正道に導けなかった。それだけが心残りだ」

ついに出血点を見つけた佐伯教授は、ブラックペアンで吐血する。

高階は再度のペアンの留置を危惧し、ブラックペアンで止血した部位の結紮を進言するが、佐伯教授は閉腹を指示する。
実は、佐伯教授のブラックペアンは特注のカーボン製で、レントゲンには写らず、火葬されたら一緒に燃えて、後には残らない代物だった。

今回の事態の責任をとって辞任するという佐伯に、渡海は自分が辞めることを宣言する。
佐伯外科教室を守ろうとする渡海を、世良は引き止めるが、

世良「俺はまだ、渡海先生から教わりたいことがたくさんあるんです」

渡海は父親のことも佐伯教授のこともわからなかったが、世良には自分の想いの一部を残せたと告げる。

渡海「世良、立派な外科医になれよ」

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ブラックペアン感想

見どころはやはりバチスタシリーズとのクロスオーバー!
バチスタシリーズに登場する病院長達の若き日々が描かれています。

藤原さんに「ゴンスケ」呼ばわりされてる病院長。
そりゃあ病院長は藤原さんに頭上がらなくなるなあ・・・としみじみ。

黒崎教授はこの後独立に成功したんでしょうね。
佐伯教授もおそらく力技で病院長になったんだろうな。
参謀が高階権太なので、当然と言えば当然ですが・・・。
一方、あまり出世できなかった垣谷先生。

そしてなぜか世良といい感じの花房婦長。
いつ速水に乗り換えたんだろう・・・。

最大の見どころは”ジェネラル”速水、”デジタルハウンドドッグ”加納と並び立つ最強キャラ、渡海です。
ちなみに渡海が外科控え室で聞いてるのは、
『ナイチンゲールの沈黙』で登場する城崎の「バタフライ・シャドウ」と水落冴子の『ラプソディ』。
⇒ナイチンゲールの沈黙 [海堂尊]

ドラマのキャスティングは本当にドンピシャ!です。
世良はまさに清潔感あふれる竹内涼真だし、食えない渡海は二宮和也にピッタリ。
そして剛柔兼ね備えた高階に、小泉孝太郎は適任でしょう。
どんな駆け引きが繰り広げられるか、ワクワクしますね・・・!

U-NEXTではバチスタシリーズがイッキ見できるので、
これまでのシリーズをおさらいしておくのもオススメです。
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