アレクサンドル・デュマの小説『モンテ・クリスト伯』ネタバレあらすじと感想についてまとめています。
無実の罪で投獄されたエドモン・ダンテスが「モンテ・クリスト伯」となり、自分を陥れたダングラールとフェルナン、そしてヴィルフォールの3人に復讐していく物語。
日本では『巌窟王(がんくつおう)』の名で親しまれ、宝塚の舞台や、映画、漫画、アニメになり、さらにディーン・フジオカ主演でドラマ化もされますが、元ネタの原作小説はどんな内容なのか?名言として有名な最後の言葉とは?
複雑な人物関係を整理し、ダンテスの復讐方法をまとめて解説。エデの正体や巌窟王の意味など、疑問もあわせて考察していきます。
ラストまでネタバレしていますので、結末を知りたくない方はご注意ください。
目次
登場人物&相関関係
『モンテ・クリスト伯』には膨大な数の登場人物が出てきます。
主要人物とその関係をまとめておきます。
■ エドモン・ダンテス / モンテ・クリスト伯爵
モレル商会の一等航海士。無実の罪でシャトー・ディフに19歳で投獄され、14年もの獄中生活を強いられる。脱獄後、イタリアの貴族「モンテ・クリスト伯爵」としてパリの社交界へと現れ、自分を陥れた者たちに復讐していく。
■ ルイ・ダンテス
ダンテスの父親。妻亡き後、男手一つでダンテスを育ててきた。
ダンテスの協力者たち
■ ファリア神父
イタリアの神父。かつて仕えていたスパダ家に伝わる古文書を解読し、モンテクリスト島に隠された財宝のありかを突き止めるが、イタリア独立運動への関連を疑われて逮捕され、シャトー・ディフに収監される。
■ エデ
ギリシアのジャニナ地方の太守アリ・パシャの娘。フェルナンの裏切りによって父親を殺害され、奴隷の身分に貶められてしまうが、モンテ・クリスト伯爵によって救出される。
■ ベネデット / アンドレア・カヴァルカンティ
ヴィルフォールとエルミーヌの間に生まれた不義の子供。生後すぐ絞殺されて庭に埋められたが、ベルトゥッチオによって助け出される。非行を重ね、ツーロン監獄に収監されていたところをモンテ・クリスト伯に探し出され、「カヴァルカンティ子爵」として社交界に入る。
■ ジョヴァンニ・ベルトゥッチオ
モンテ・クリスト伯爵の家令。かつてはコルシカの密輸業者だった。
■ ジャコポ・マンフレディ
密輸船ジュヌ・アメリー号のコルシカ人船員。シャトー・ディフを脱出し、漂流していたダンテスを救った。
■ ルイジ・ヴァンパ
イタリアの山賊。元は羊飼いだったが、山賊の頭ククメットを殺して自ら頭に成り代わった。羊飼いの頃に道を教えたことが切っ掛けでモンテ・クリスト伯爵と知り合い、山賊になってからも付き合いが続いている。
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マルセイユの貿易会社モレル商会の経営者。
■ マクシミリアン
ピエールの息子。ヴァランティーヌと恋人同士。
■ マジュリー
ピエールの娘で、マクシミリアンの妹。
■ ガスパール・カドルッス
ダンテスの隣家に住んでいた仕立て屋。お調子者の小悪党で、気が弱く、ダングラールの巧みを知りながら真実を言えなかった。ダンテスの投獄後は没落し、安宿の主人になっている。
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漁師。従妹のメルセデスに恋し、ダンテスを恋敵として憎んでいた。ダンテスの投獄後は軍人となり、祖国を裏切り陸軍中将まで出世し、貴族院議員の地位を手に入れる。
■ メルセデス
ダンテスの婚約者。ダンテスの投獄後、従兄のフェルナンと結婚する。
■ アルベール
メルセデスとフェルナンの息子。ダングラールの娘ユージェニーの許嫁。命の恩人であるモンテ・クリスト伯爵を自宅へ招き、両親に紹介する。
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モレル商会の会計士。ダンテスの出世を妬み、帳簿の不正を知られていた彼の存在を疎ましく思い、嘘の密告状を作ってフェルナンに提出させる。ダンテスの投獄後、モレルの紹介でスペインの銀行へ入って頭角を現し、フランス有数の銀行家にのしあがった。
■ エルミーヌ
ダングラールの妻。前夫の自殺後、ダングラールと再婚。再婚前はヴィルフォールと愛人関係にあった。
■ ユージェニー
ダングラールとエルミーヌの娘。
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マルセイユの検事代理。権力欲の塊で、出世のためには他人を犠牲にすることも厭わず、無実のダンテスをシャトー・ディフに投獄する。その後順調に出世し、法曹界の頂点である検事総長に就く。
■ ノワルティエ
ヴィルフォールの父。ナポレオンの熱心な支持者だった。脳卒中で全身不随になっているが、気力は衰えていない。
■ ヴァランティーヌ
ヴィルフォールの前妻との間の娘。心優しい娘で、ノワルティエの介護をしている。
■ エロイーズ
ヴィルフォールの再婚した若い妻。息子を溺愛し、先妻の子のヴァランティーヌを疎んでいる。
■ エドゥワール
ヴィルフォールとエロイーズの息子。父は育児を母親任せにし、母は溺愛のあまりやりたい放題にさせているため、我儘で残虐な子供に育っている。
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モンテ・クリスト伯ネタバレあらすじをラスト結末まで
ディーン・フジオカ主演ドラマ版⇒
起:はめられたダンテス
1815年。
若き英雄として革命後の混乱からフランスを救い、皇帝位までのぼりつめたナポレオン・ボナパルトが失脚し、エルバ島へ追放されていた頃。
マルセイユの船乗りエドモン・ダンテスは、婚約者のメルセデスとの結婚を控え、船主のモレルからの信頼も厚く、順風満帆の人生を送っていた。
ある航海で、ダンテスは航海中に病気で亡くなった船長の代わりに船員たちを率いることになる。
途中、船長の遺言でエルバ島に立ち寄り、ナポレオンの側近のベルトラン大元帥に小荷物を届けたダンテスは、ノワルティエへの手紙を託される。
帰港したダンテスは、モレルから新たな船長への昇格を約束される。
妻を亡くし男で一つでダンテスを育てた父親は、息子の出世をとても喜んだ。
しかし、会計士のがダンテスの出世を妬み、ダンテスの恋敵のフェルナンをそそのかし、ダンテスがエルバ島からナポレオンの手紙を持ち帰ったと、検事のもとに嘘の密告書を届けさせた。
この密告書により、ダンテスは婚約披露のパーティーの最中に逮捕されてしまう。
取り調べを受けたダンテスは、検事代理のヴィルフォールに弁明する。
自分は船長の遺言に従っただけで、預かった手紙はベルトラン大元帥の私的なものだ、と。
ヴィルフォールが確認したところ、ダンテスが託された手紙はヴィルフォールの父ノワルティエあてだった。
ナポレオンの熱心な支持者である父親と仲が悪く、手紙が自身の失脚に繋がることを恐れたヴィルフォールは、手紙を隠滅し、さらにダンテスを投獄する。
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承:ファリア神父との出会いとスパダ家の秘宝
無実の罪で投獄されてしまったダンテス。
絶望の日々の中、ついには餓死自殺を図るが、ダンテスは隣の独房から聞こえる音に気づく。
数日後、地下牢の石壁を外し、ファリア神父が現れる。
ファリア神父との出会いが、ダンテスの運命を大きく変えることになった。
ダンテスの話を聞いたファリア神父は、ダングラールとフェルナン、そしてヴィルフォールの3人がダンテスを陥れたことを見抜く。
ダンテスの中に復讐の炎が燃え上がる。
見かねたファリア神父はダンテスに様々な学問を教え、ダンテスはフランス語以外に、スペイン語、英語、イタリア語、ドイツ語を自在に操れるようになっていた。
二人は同時に、脱獄の準備を進めていた。
しかし、計画の実行を目前にファリア神父が病に倒れてしまう。
ファリア神父はかつて自身が仕えていたスパダ家に伝わる財宝のありかをダンテスに伝え、息を引き取った。
ファリア神父の神父の遺体と入れ替わり、ダンテスは脱獄に成功する。
投獄から実に14年の月日が過ぎていた。
イタリアの密輸船に拾われたダンテスは、船乗りとして働きながら、静かにチャンスを待っていた。
そしてついにその時は来た。密輸船がモンテ・クリスト島へ立ち寄ることになったのだ。
スパダ家の財宝を手に入れたダンテスは、自分を陥れた仇敵の3人への復讐を開始する。
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転:モンテ・クリスト伯の登場と復讐の幕開け
ダンテスはまず「ブゾーニ神父」と名乗り、仕立て屋だったカドルッスの元を訪れる。
カドルッスは落ちぶれ、安宿の主人となっていた。
ダイヤモンドの指輪を見せられたカドルッスは、ダングラールとフェルナンがダンテスをはめたことを打ち明ける。
父親が自分の無実を信じ続け餓死し、さらにメルセデスがフェルナンと結婚したことを知り、ダンテスは愕然とする。
ダンテスはダイヤモンド代わりに、モレルが父に渡したという赤い絹の財布を受け取る。
一方、ダンテスの罪を晴らそうとかけまわったモレルは、破産寸前に陥り、持ち船もファラオン号一隻になってしまっていた。
しかも頼みのファラオン号も沈没してしまう。
トムソン社の債権者に扮したダンテスは、モレルの元を訪れ、借金の返済日を三か月後に延ばすと共に、娘のジュリーに「船乗りシンドバッド」からの手紙を待つように伝える。
約束の三か月後、ジュリーの元に「船乗りシンドバッド」からの手紙が届く。
指定された場所へ向かうと、赤い絹の財布が置かれていた。中に入っていたのは、支払い済みの借用状と結婚を控えたジュリーへのダイヤモンド。
ダンテスは「船乗りシンドバッド」としてモレルの窮状を救ったのだった。
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自分を陥れたダングラール、フェルナン、ヴィルフォールがそれぞれに地位と財産を手に入れ、時の人となっていることを知ったダンテスは、9年もの時間をかけて綿密な準備をし、イタリアの貴族「モンテ・クリスト伯爵」としてパリの社交界に現れる。
フェルナンの息子アルベールが、命を救ってくれた恩人のモンテ・クリスト伯を両親に紹介する。
フェルナンはダンテスの投獄後軍人となり、祖国を裏切って陸軍中将まで出世し、貴族院議員の地位まで手に入れていた。
一方、モンテ・クリスト伯の正体がエドモン・ダンテスであると気付いたメルセデスは倒れ込んでしまう。
ダンテスはまずダングラールへの復讐を開始した。
ダングラールはダンテスの投獄後、モレルの紹介でスペインの銀行へ入って頭角を現し、フランス有数の銀行家にのしあがっていた。
ダンテスの画策で、スペインで革命が起こったという誤報を掴まされたダングラールは、株を売却して大損する。
さらにイタリアの会社も倒産し、次々と財産を失っていく。
窮地に陥ったダングラールは、モンテ・クリスト伯に助言を求め、カヴァルカンティ子爵を紹介される。
カヴァルカンティ子爵の正体がヴィルフォールとエルミーヌの間に生まれた不義の子供ベネデットだとは知らずに、ダングラールはフェルナンの息子アルベールとの婚約を破棄し、娘ユージェニーをカヴァルカンティ子爵と婚約させた。
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ある日、モンテ・クリスト伯爵の屋敷に泥棒が入る。ベネデットから知らせを受け、泥棒がカドルッスだとわかったダンテスは「ブゾーニ神父」に扮し、カドルッスの前に姿を現す。
カドルッスはブゾーニ神父から受け取った指輪を宝石商に売り、金をもらった上で宝石商を殺し、警察に捕らえられたが、脱獄してきていた。
ベネデットがカヴァルカンティ子爵となっているのを知ったカドルッスは、彼の正体をネタに脅迫し、たかるようになる。
そしてベネデットに騙されて、モンテ・クリスト伯爵の屋敷に侵入したのだった。
ブゾーニ神父に返り討ちにあったカドルッスは、逃亡しようとしたところをベネデットに刺されてしまう。
死の間際、ブゾーニ神父が手渡したベネデットが犯人である旨を記した書類にサインさせられ、さらにブゾーニ神父の正体がダンテスであることを聞かされたカドルッスは、恐れおののきながら息絶えるのだった。
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結:裏切り者たちの末路とダンテスの新たな旅立ち
ダンテスは次に、ヴィルフォールへの復讐に取り掛かる。
ダンテスの投獄後順調に出世し、検事総長までのぼりつめたヴィルフォールだったが、あることに頭を悩ませていた。
最近ヴィルフォール家では奇妙な事件が続いていた。
ヴィルフォールの前妻の両親、そしてノワルティエの使用人が、次々と毒物中毒で死んだのだ。
医者は前妻の娘ヴァランティーヌが犯人ではと進言するが、当のヴァランティーヌも毒を飲まされ重体だ。
ヴァランティーヌの身を案じた恋人のマクシミリアンが、モンテ・クリスト伯に助けを求める。
恩人モレルの息子マクシミリアンと、ヴァランティーヌが恋人同士という運命のいたずら。
悩んだ末、ダンテスはヴァランティーヌを救うことを決意した。
ヴァランティーヌの葬儀の翌日、ヴィルフォールは若い後妻の犯行を突きとめる。
息子を溺愛していたエロイーズは、ヴィルフォール家の全財産を息子に相続させるため、4人もの人間を殺していたのだ。
泣き縋る妻を冷たく突き放し、裁判へと向かうヴィルフォール。
奇しくもそれはベネデットの裁判だった。
ベネデットに過去の罪を法廷で暴露されたヴィルフォールが家に戻ると、妻と息子が毒を飲んで死んでいた。
そこへ現れたブゾーニ神父に正体がエドモン・ダンテスだと明かされたヴィルフォールは発狂し、庭の土を掘り埋めたはずの赤ん坊を探し始めるのだった。
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翌朝、アリ・パシャ事件の裏切り者がモルセール伯爵だという記事が新聞に出た。
フェルナンは当時仕えていたアリ・パシャを裏切り軍を全滅させただけでなく、その娘エデをトルコの奴隷市場に売り飛ばしていたというのだ。
モンテ・クリスト伯が記事を書かせたことを突き止めたアルベールは、父親の名誉のため決闘を申し込む。
決闘の前夜、メルセデスがモンテ・クリスト伯を訪ねて来る。
ダンテスを陥れた夫の罪を詫び、どうか息子の命を助けてやってほしいと頼みに来たのだ。
娘同様に大切なエデを思い、悩むダンテス。
ところが決闘の場に着くと、意外なことが起きた。
メルセデスからすべてを聞いたアルベールが、ダンテスに深く頭を下げて詫び、決闘の中止を願い出たのだ。
一方、議会ではアリ・パシャ事件について大議論が行われていた。
フェルナン自分が犯人だと証明できる者などいないと高をくくっていたが。証人としてエデがフェルナンの裏切りを証言する。
議会から逃げるように去ったフェルナンは、息子が決闘を取り止めたことを知り、息子に代わりモンテ・クリスト伯に決闘を申し込む。
怒り狂うフェルナンに、ダンテスは古い船員の帽子とシャツを突きつけ、モンテ・クリスト伯の正体がエドモン・ダンテスであることを明かす。
驚いたフェルナンはその場から逃げ出し、自宅へ戻るが、入れ替わりに妻メルセデスと息子アルベールの乗せた馬車が去っていく。
全てを失ったフェルナンは、無人になった邸で拳銃自殺する。
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結婚パーティーの当日、娘婿となるはずのカヴァルカンティ子爵が警官隊に逮捕され、窮地に立たされたダングラール。
欲深い父親に愛想をつかした娘のユージェニーは、家を出ていった。
ダングラールは残った500万フランを持って逃げ出すが、途中山の中で山賊の一味に捕まってしまう。
牢に閉じ込められ、飢えと乾きで散々苦しんだ挙げ句、食事と引き換えに有り金のほとんどを奪われたダングラールは、山賊の頭に命乞いをする。
現れた山賊の頭「船乗りシンドバッド」がモンテ・クリスト伯だったことに驚くダングラール。
ダンテスは自らの正体を明かし、ダングラールを赦すと告げ解放するが、その姿はまるで老人のようになってしまっていた。
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ダンテスはマルセイユのイフ島を訪れた。
今は観光名所となった島で、ダンテスは自分が14年間閉じ込められた闇の牢屋を感慨深く眺めていた。
あの日のファリア神父の言葉が蘇る。
待て、しかして希望せよ、と。
数日後、抜け殻となったマクシミリアンが島に上陸する。
ヴァランティーヌが死んでから、約束の1か月が経っていた。
マクシミリアンは渡された自決用の毒を口に含み、気を失う。
そこへヴァランティーヌが現れる。
あの日、ダンテスはヴァランティーヌ仮死状態になる薬を飲ませ、死んだと見せかけてこの島へと連れてきていたのだ。
葬式の棺に入っていたのは人形だった。
これで自分の役目は終わった。ダンテスは、ヴァランティーヌにエデのことを頼み、去ろうとする。
そんなダンテスをエデが引き止める。
そしてダンテスはようやく気付く。エデが自分を愛していたことに。
一時間後、目を覚ましたマクシミリアンは、ヴァランティーヌを見つけ歓喜する。
ダンテスからの手紙には、マクシミリアンに生きていることの素晴らしさを教えるため仮死状態にしたこと、そして二人の結婚式の準備とパリの屋敷を結婚祝いに贈ることが記されていた。
ダンテスは既にエデと共に旅立っていた。
水平線の彼方に小さく船が見える白い帆に向かって、マクシミリアンは涙ながらに手を振るのだった。
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モンテ・クリスト伯解説&考察
ダンテスの復讐方法まとめ
ダンテスは「ブゾーニ神父」「船乗りシンドバッド」「モンテ・クリスト伯爵」という3つの顔を巧みに使い分け、復讐を進めていきます。
フェルナン
・罪:メルセデスと結婚するダンテスを妬み、ダングラールが書いた嘘の密告書を検事に届けた。
・復讐方法:エデの両親を殺害した裏切りを新聞に書かせ、議会で糾弾。
・末路:ダンテスから奪ったメルセデスと息子アルベールからも見捨てられ、拳銃自殺。
・罪:自身の失脚を恐れ、ナポレオンの側近が父に宛てた手紙を隠蔽し、無実のダンテスをシャトー・ディフに投獄した。
・復讐方法:後妻エロイーズをそそのかし、さらにエルミーヌとの間に生まれた不義の子供ベネデットを使い、ベネデット殺害未遂事件を法廷で証言させる。
・末路:検事総長の地位を失い、毒殺事件を起こした妻エロイーズは息子と心中。全てを失い、発狂。
ダングラール
・罪:ダンテスの出世を妬み、ダンテスに帳簿の不正を知られていたこともあり、嘘の密告書を作ってフェルナンに提出させる。
・復讐方法:密かに根回しして融資先を破産させ、さらに誤報を掴ませ株を売却させるなど、財産を削り取っていく。さらに餓死で死んだダンテスの父の復讐として、飢えの辛さを身をもって味わわせる。
・末路:娘に見捨てられ、全財産を失い、廃人同然と化す。
カドルッスは直接の復讐相手ではありませんでしたが、その欲深さゆえにベネデットをゆすり、再びダンテスの前に現れたことでベネデットに刺されて死亡します。
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巌窟王(がんくつおう)の意味
巌窟王とは、岩の洞窟の王。
すなわち、モンテ・クリスト島の秘宝が隠された岩の洞窟と、その秘宝を得たエドモン・ダンテスのことを意味しています。
モンテ・クリスト伯の名言
『モンテ・クリスト伯』における名言といえば、やはりラストのこの言葉でしょう。
待て、しかして希望せよ
現代では「待て、そして希望せよ」と訳される場合も多く、
原文は「Attendre et espérer ! 」で命令形ではなく、直訳すれば「待つのだ。そして希望するのだ」ぐらいのテンションなんですが、ダンテスのこれまでの人生を考えると、やはり「しかして」がしっくりくる気がします。
しかして【接続詞】そうして。それから。
14年もの間投獄され、さらに復讐の準備に9年もの歳月を費やしたダンテス。
彼が「待つ」と「希望」を同列に語るからこそ、響くのでしょう。
どんな困難が降りかかろうとも、希望をもって辛抱強く粘りぬけ、と。
この世には、幸福もあり不幸もあり、ただ在るものは、一つの状態と他の状態との比較にすぎないということなのです。きわめて大きな不幸を経験したもののみ、きわめて大きな幸福を感じることができるのです。(中略)人間の叡智はすべて次の言葉に尽きることをお忘れにならずに。待て、しかして希望せよ!
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モンテ・クリスト伯のモデルはナポレオン?
『モンテ・クリスト伯』のナポレオンがエルバ島を脱出したエピソードを元に書かれています。
というわけで世界史とナポレオンについてざっくりおさらい。
コルシカ島出身のナポレオンは、軍人としての才能を開花させ、若き英雄として革命後の混乱からフランスを救い、皇帝位までのぼりつめる。
しかし1812年のロシア遠征の失敗を機に、各地で敗北を重ねたナポレオンは帝位を追われ、地中海のエルバ島へ流された。
1815年、エルバ島を脱出しパリに戻ったナポレオンは再び皇帝に復位するが、ワーテルローの戦いでイギリス・プロイセンの連合軍に大敗し、退位に追い込まれる(百日天下)。
二度と復位できないよう、フランスからはるか遠く大西洋の孤島セントヘレナ島に流され、1821年に51歳でその生涯を終えた。
『モンテ・クリスト伯』の世界には当時のフランスの社会情勢が色濃く反映されています。
物語の始まりは1815年2月24日のフランス。
まさにナポレオンがエルバ島に流されていた時です。
エルバ島に立ち寄ったダンテスは、ナポレオンの側近のベルトラン大元帥に荷物を届けた際、同席していたナポレオンとも面会しています。
失脚したとはいえ、ダンテスにとってはナポレオンは今も偉大な英雄でした。
一方のヴィルフォールは王党派で、反王党のジロンド党員でナポレオンの熱心な支持者である父親ノワルティエと反目し合っています。
ヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』しかり、
やはりナポレオンが当時のフランスに与えた影響は計り知れなかったのだろうと。
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モンテ・クリスト伯感想
読み終えた感想としては、面白いんですが長い・・・!!
とにかく長いです。
岩波文庫で全7巻。
1巻あたり300~400ページ弱とそこそこのページ数を誇ります。
長いのと出てくる登場人物が膨大で、「あれ、この人前いつ出てきたっけ?」となる始末・・・。
登場人物たちの人間関係を把握するだけでも一苦労でした。
登場人物表要るなコレ、と思って作ったのが冒頭の一覧です。
なので、これから読む人にオススメなのは、まず児童書などで大枠の全体像を把握してから、岩波版を読む方法です。
総論→各論のイメージですね。
全体像がわかってるので、サクサク読めます。