映画「シャッターアイランド」考察&解説 ラスト灯台で明かされた7つのトリック、テディのセリフの意味

レオナルド・ディカプリオ主演映画『シャッターアイランド』のネタバレを考察&解説していきます。
あらすじを時系列順に簡単に整理し、ラスト、テディとコーリー院長との灯台での会話で明かされたどんでん返しトリック7つを考察。チャックの正体、レイチェルに隠された秘密、ジョージ・ノイスの真実・・・。
さらに、ラスト結末の解釈、最後にテディが言った「モンスターのまま生きるか、善人として死ぬか」のセリフの意味、タイトルに隠された謎、陰謀説まで、明らかになった謎や伏線を徹底解説していきます。

シャッターアイランドのあらすじを時系列順に簡単におさらい

『シャッターアイランド』は精神病患者である主人公・テディの視点で物語が進んでいくため、妄想と現実が入り混じり、話が非常に複雑になっています。

何が真実で何がテディの空想なのか?見極めるために、
まずは逆算的にあらすじを時系列順におさらいしておきます。

第2次世界大戦~保安官時代

・第2次世界大戦でダッハウ収容所の解放に立ち会う。

・帰還したのち、アルコール依存症に。

・妻のドロレスがうつ病になり、自殺願望を抱くように。だがアンドリューは家には戻らず、酒に溺れた。

・ドロレスがアパートに放火。湖畔の家に引っ越す。

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1952年(2年前)

・ドロレスが3人の子供たちを湖で溺死させる。

・帰宅したアンドリューは拳銃でドロレスを殺害。

・アッシュクリフ精神病院に収容される。

・アンドリューは妻が子供たちを殺した事実を受け入れられず、「エドワード・ダニエルズ」「レイチェル・ソランドー」という架空の人物を作り出し、自分は「アンドリュー・レディス」ではなく「エドワード・ダニエルズ」だと思い込む。
そして、妻は「アンドリュー・レディス」という放火魔に火事で殺されたという妄想に取り憑かれる。子供たちの存在は忘れてしまう。

・院長は自身の治療方針に反するが、暴力的なアンドリューに止むなくクロルプロマジンを投与。

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1953年(9か月前)

・一度正気に戻るが、再び「自分は島に捜査に来た保安官だ」という妄想に取り憑かれる。

1954年

・自身を「レディス」と呼んだジョージ・ノイスを暴行して殺しかける。

・看護助手、警備員、患者を傷つけ、ノイスを襲ったアンドリューを危険視した警備隊長と理事たちは、「処罰を下すべき」と判断。

・コーリー院長は最後のチャンスとして、アンドリューの妄想を現実にして正気に戻すと理事会に掛け合う。

・2日間のロールプレイ治療が開始。シーアン医師は相棒の「チャック」としてアンドリューに付き添う。

・結果、アンドリューは正気に戻るが、また症状が悪化したふりをし、ロボトミー手術を自ら受けることに。

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ラストで明らかになった人物相関図

ラストで明らかになった各登場人物の情報を整理しておきます。

■ エドワード・ダニエルズ→本名はアンドリュー・レディス
連邦保安官。失踪事件の捜査のためにシャッターアイランドを訪れる。→妻を殺してアッシュクリフ病院に収容された精神病患者。

■ チャック・オール
連邦保安官。テディの相棒。→テディの主治医のシーアン医師。

■ ドロレス・チャナル(ミシェル・ウィリアムズ)
テディの妻。放火魔レディスによる火事で死亡した。→うつ病で3人の子供たちを溺死させ、テディに射殺された。

■ レイチェル・ソランドー(エミリー・モーティマー)
島から忽然と姿を消した。3人の我が個を殺した罪で収監されている。→実在しない。テディが創った架空の人物。
※レイチェルはドロレスが殺したテディの娘の名前。

■ ジョージ・ノイス(ジャッキー・アール・ヘイリー)
以前シャッターアイランドに収監されていた男。テディの情報源。→テディが殺そうとした患者。

■ アンドリュー・レディス(イライアス・コティーズ)
テディの妻ドロレスを殺した放火魔。アッシュクリフ精神病院に収容されている。→実在しない。テディが創った架空の人物。

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【徹底解説】ラストで灯台で明かされたどんでん返しトリック7つ

ラスト、灯台でのテディとコーリー院長との会話で明かされたトリックは、

  1. テディ自身が精神病患者だった。
  2. 「エドワード・ダニエルズ」と「レイチェル・ソランドー」はテディが創った架空の人物
  3. テディの本名は「アンドリュー・レディス」
  4. チャックの正体はシーアン医師
  5. 自分の3人の子供を殺したのは、レイチェルではなくテディの妻ドロレス
  6. レイチェルはテディの娘
  7. C棟にいたジョージ・ノイスはテディの情報源ではなく、ただの患者

「四の法則」の意味はアナグラム

4つの氏名には共通点がありました。

EDWARD DANIELS (エドワード・ダニエルズ)⇔ ANDREW LAEDDIS(アンドリュー・レディス)

RACHEL SOLANDO(レイチェル・ソランドー)⇔ DOLORES CHANAL(ドロレス・チャナル)

アルファベットで13文字。同じ文字の綴り替え、つまりアナグラムです。

「アンドリュー・レディス」はテディの本名で、
「ドロレス・チャナル」はテディの妻ドロレスの旧姓。

テディは自分に関係する身近な名前を使って、架空の人物を作り出していたのでした。

ちなみに、「テディ」は「エドワード」の愛称です。
ここで日本人はちょっと混乱してしまうんですよね・・・。

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放火犯のアンドリュー・レディスは実在しない

テディは患者への事情聴取の際に、レイチェルの失踪事件とは関係のない、「アンドリュー・レディスという男を知っているか」と聞き始めます。

・アンドリュー・レディスはテディの妻を殺した放火魔。
・テディは復讐のため、長年レディスを追ってきた。
・レディスはアッシュクリフ精神科病院に収容されていた。
・ダッハウ収容所の悲劇を繰り返さないために、証拠を掴んで、院長たちの陰謀を暴露しようとしている。

という話でしたが、
妻のドロレスはテディ自身が殺害しているので、当然そんな男は実在しません。

というか「アンドリュー・レディス」はテディ自身の名前です。
追っている人物の名前が、自分の名前であることすら忘れてしまっている・・・
テディの症状の重さがうかがえます。

シーアン医師がテディの妄想に合わせて「黒幕は政府で、テディはハメられた」と告げるのはちょっと謎ですが・・・。

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チャックの正体はシーアン医師だという伏線3つ

チャックの正体は、2年間レディスの主治医だったシーアン先生でした。

実は、チャックの正体に気づく伏線が大きなところで3つあります。

銃を預かるシーン

チャックは銃を外すのに手間取り、結局ガンホルダーごと警備副隊長のマクフィアソンに手渡します。

これは、彼は刑事ではないので、銃の扱いに慣れていないからですね。

職員への事情聴取の時

レイチェルの昨夜の行動について職員たちに聞いている際、
テディがグループ治療についてたずねた時、看護師が

看護師「シーアン先生が進行役でした」

と、テディの右手にいるシーアン医師を無意識に見ています。

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カーンズへの事情聴取の時

夫を斧で殺したカーンズから話を聞いた際、テッドが

テッド「シーアン医師のことをもっと知りたい」

と聞いた時、カーンズはかなり言いよどんでいました。

そりゃあそうです。目の前にシーアン医師がいるわけですからね。

目が泳いでるように見えましたが、彼女も視線でテディの隣りにいるシーアン医師を無意識に見ていたのです。

そして「男前よ」と褒められた時、マーク・ラファロがすんごい微妙な表情をしている。

気まずい~~という感じですね。褒められても困る。

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C棟にいたジョージ・ノイスの正体

テディの妄想設定では、ジョージ・ノイスはテディの情報源として

社会主義者の学生。
アッシュクリフ病院のC棟に収容されたことがある。
1年で退院したジョージ・ノイスは、2周間後に酒場で3人の男を刺し殺した。弁護士は心神喪失を主張したが、ノイスは「病院はもうご免だ」と電気イスを望んだ。
結局終身刑となったノイスに面会に行くと、ボロボロの人間になっていた。

という話でしたが、実はテディが殴り殺そうとした入院患者でした。

実は、これも気付くヒントが幾つかあります。

カーンズへの事情聴取

テディがカーンズに事情聴取した時、

テディ「レディスという患者を?」

と尋ねると、カーンズは震え出し、目の前に本人がいるのに

カーンズ「いいえ、知らないわ」

と答えています。
これはC棟にいたジョージ・ノイスがアンドリューの本名を口にし、殺されかけたことを知っているからでしょう。

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C棟での会話

また、テディがC棟に侵入してジョージ・ノイスと話した際も、会話の端々にヒントがありました。

テディ「レディスか?」

ジョージ・ノイス「笑わせるな。また嘘をつく気か?真実のために?あんた自身とレディス、それが核心さ

テディ=レディスを意味しています。

テディ「誰がやった」

ジョージ・ノイス「お前さ

誰に殴られたのかと尋ねたテディに対し、ノイスは「お前さ」と答えています。

ジョージ・ノイス「お前のために仕組まれたゲームだ」

これはコーリー院長がテディのために実施したロールプレイ治療だということ。

ジョージ・ノイス「奴らの勝ちだな。幸運を」

このままテディが正気を取り戻さなければ、ロボトミー手術を受けることになります。

コーリー院長の言葉

コーリー院長「2週間前彼の言葉に怒った患者にメタメタに殴られた」

ジョージ・ノイスを殴った、この患者こそがテディです。
コーリー院長は、テディに2週間前の記憶を思い出させようとしたのでしょう。

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3人の子供を殺したのはレイチェルではなくドロレス

3人の自分の子供を殺したのは、
レイチェル・ソランドーではなく、テディの妻ドロレスでした。

ドロレスはうつ病で、自殺願望がありましたが、テディは家には戻らず、酒に溺れます。
その結果、ドロレスはアパートに放火。
そしてテディたち一家は湖畔に引っ越しますが、そこで最悪の事態が訪れます。

精神を病んだドロレスが、3人の子供たちを湖で溺死させ、殺してしまったのです。

テディが創り上げた妄想のレイチェル・ソランドーは、そのまま妻ドロレスの過去を表していたのでした。

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レイチェルはテディの娘の名前

レイチェルはテディの娘の名前でした。

夢に度々登場していた女の子は、テディ自身の娘レイチェルだったのです。

作中、テディはずっと2つのトラウマに悩まされています。
一つはダッハウ強制収容所の解放に立ち合った経験。
そしてもう一つは、3人の子供たちを妻ドロレスが溺死させ、そのドロレスを自身が殺したことです。

テディはこの2つの記憶を混同しています。

レイチェル「私を助けもせず・・・私たちを死なせたのよ」

テディの夢に登場するレイチェルは、いつもテディを責めます。

レイチェル「私死んだの?」
テディ「許してくれ」
レイチェル「なぜ助けなかったの?」
テディ「助けたかった。だがあそこに行った時は 手遅れだった」

ダッハウ強制収容所の被害者の一人なら、一兵卒に過ぎないテディをここまで責めるのは疑問が残ります。

しかし、娘なら納得です。

酒に逃げて、自分たちを助けてくれなかった父親への非難だったんですね。

院長はダッハウの監視兵殺戮の話も事実かどうか疑っていましたが、ダッハウ強制収容所の話は本当なのではないかと思います。

ちなみに、ニセのレイチェル役は2人います。
一人は途中戻ってきたレイチェル。正体は病院の看護師です。
テディの妄想を現実にするため、レイチェル役を演じていました。
レイチェルがテディに抱きついたりしているのを誰も止めなかったのは、テディが正気に戻るのを期待してのことでしょうね。

もう一人、洞窟いたレイチェルは、テディと同じく患者の可能性が高いです。

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テディ自身が精神病患者、最大の伏線は鉛筆グリグリ

『シャッターアイランド』の最大のトリックは、テディ自身が精神病患者だったということです。

でも実は、テディ自身が精神病患者だという伏線は、
コーリー院長や看護師、そして他の患者がテディを見る目線や表情に、多数散りばめられていました。

鉛筆グリグリ

ピーター・ブリーンの事情聴取の際、

ピーター「とんでもない世の中だ。ガスで殺しちまえ!」

というピーターに、
テディは鉛筆をグリグリする音を聞かせます。

するとピーターは「頼む。やめてくれ」と嫌がります。
最終的には「やめてくれ!」とパニックに。

なぜピーターが苦手な音を知っていたか?
それはテディ自身もここの患者で、ピーターと面識があったからです。

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コーリー院長やシーアン医師の言葉

コーリー院長は常にテディを正気に戻そうと試みています。

レイチェルについて尋ねた際、
レイチェルは入所2年、ここがバークシャーの自宅だと信じ、周りの人間を「牛乳屋」「郵便配達人」だと思い、

コーリー院長「”子供が生きてる”という妄想で我々に役を振り当て、虚構の世界を創ってる」
「レイチェルには凶暴性を抑える薬が処方されたが、効果は安定せず、彼女は自分の行為を認めようとしなかった」

これはそっくりそのままテディのことです。

「回診後自宅で一杯飲むから9時頃どうだね?」と言うコーリー院長に、「そこで話を」と返すテディ。

コーリー院長「十分話したろ?」

これは、2年もの間テディと話し続けてきたという現実を思い起こさせるためでしょう。

人間は思い込みを正せないのだ」

これはまさにテディ自身のことを意味しています。

警備隊長の車で病院まで送り届けられ、
「相棒のチャックはどこに?」と尋ねた際、コーリー院長は

コーリー院長「“俺たち”?君は1人で来たんだよ」

と答えています。
これはチャックの存在を抹消しようとしてるのではなく、テディに真実を思い出させるためでした。
テディは「アンドリュー・レディス」として、一人で収容されて来たのですから。

シーアン医師もジョージ・ノイスの話を聞かされた際、

シーアン医師「じゃあなぜここへ?

とテディがなぜここへ来たのか?思い出させようとしています。

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親しげな患者たち

テディとチャックが初めて病院内に立ち入った際、他の患者たちは初対面にもかかわらず、テディに手を振ったり微笑みかけたりと親密な素振りを見せています。
これは、テディが患者として収容されていたため、既に他の患者と顔見知りだったからです。

最初患者たちに手かせや足かせの鎖が見えていましたが、ラストのシーンで患者たちは自由に施設内を行き来していることから、テディの妄想だったと思われます。

電気柵

病院を取り囲む電気柵について、

テディ「電流が通ってる」

チャック「なぜわかる?」

テディ「前にも見たから」

「前にも見た」というのはあながち間違いではなく、むしろ真実です。
テディは何度も自分の妄想をリピートしており、柵の説明は当然受けているはずだからです。

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島が厳戒態勢の理由

島に到着した際、警備員たちは過剰なまでに連邦保安官であるテディたちを警戒しています。
これは精神を病んだ犯罪者を収容しているためかと思われましたが、その実テディが凶暴化した時への対策でした。

職員への事情聴取で、テディがグレンを問い詰めた時、みんなが警戒したのはテディがまたキレて暴力を振るわないかですね。

患者への事情聴取の際、看護師が注射器(鎮静剤)を持って待機していたのは、テディが暴れた時のためです。

そしてC棟へ潜入した際、テディは襲ってきた患者をボコボコにしてしまいます。
その際、

「お前じゃない。お前は来るな。これで院長にドヤされる」

と、チャックは一緒に患者を抱えていくのに、テディは来なくていいという警備員。
理由はテディ自身が患者だからです。
「院長にドヤされる」のは、テディの監視を怠り、ジョージ・ノイスに続きまた患者が傷付けられてしまったからですね。

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捜査に非協力的なコーリー院長や職員

テディが「職員のデータを見たい」と言った時、頑なに

コーリー院長「個人情報の提供は断る」

と、コーリー院長が大した情報を教えてくれず、職員名簿や収容者名簿を見せてくれなかったのは、テディこそが精神病患者だからです。

そして他の病院職員も総じて非協力的でした。

テディとチャックが警備隊の捜索に参加した際、警備隊が全然やる気なかったですよね~~。

当たり前です、レイチェルなんていないのだから。

警備隊長とのやり取り

警備隊長「院長は君を無害と思ってるが私は違う
テディ「知りもせず」
警備隊長「君のことは知ってるさ。何世紀も前からね」

警備隊長はテディにロボトミー手術を受けさせようとしているため、このような解釈となっています。

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テディの最後のセリフ「モンスターのまま生きるか、善人として死ぬか」の意味は?

ラストのテッドのセリフは、

  • モンスターのまま生きる:いつまた正気を失って人を傷つけるかわからない「モンスター」として生き続ける。
  • 善人として死ぬ:正気を取り戻した状態で、ロボトミー手術を受け、自分の意識を殺す。

という意味ではないかと思います。

ラスト、アンドリューは妻が子供たちを殺したこと、そして自身が「エドワード・ダニエルズ」ではなく「アンドリュー・レディス」だと理解し、正気に戻ります。

・・・が。

再びシーアン医師を「チャック」と呼んでしまいます。

そんなアンドリューに、シーアン医師はアンドリューが元に戻ってしまったことをコーリー院長たちに目で合図。
それを見た医師たちはがっくりと肩を落とし、ロボトミー手術の準備に入ります。

しかし、その後アンドリューは

アンドリュー「ここにいると考える。どっちがマシかな?モンスターのまま生きるか、善人として死ぬか

とシーアン医師に言います。

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これを聞いてシーアン医師は驚きます。
なぜなら、アンドリューは正気を失ってはいなかったからです。

アンドリューは元に戻ってしまったわけではなく、
医師たちにロボトミー手術を決行させるために、わざと症状が戻ったふりをしたのです。

今は正気でも、また元の状態に戻ってしまい、暴れる可能性は高い。
院長の話では9か月前にも回復したのに、元に戻ってしまった。しかもアンドリュー自身はそのことを覚えていません。
このまま正気を保ち続けられるかどうか。本当に治るのか。

妻が子供たちを殺した現実と向き合い、生き続けるのは辛すぎる。
だからといって妄想の世界に逃げれば、また誰かを傷つけることになる。

もうこれ以上自分が人を傷つけるのは耐えられないと感じたからこそ、アンドリューは自らロボトミー手術を受け、「善人として死ぬ」ことを選んだのでしょう。

スコセッシ監督はインタビューで、

マーティン・スコセッシ「最後に彼がする決断にも感動した。後で原作を読んだらラストは少々違うんだ。でも僕は脚本のラストがいいと思った。深い憐れみの情に溢れている。脚本の最後のページでこれをやろうと決断したんだ」

と語っています。

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『シャッターアイランド』のタイトルに隠された謎

「最後の謎解きキャンペーン」ということで、タイトルに隠された謎も話題になりました。

実は、タイトルの「SHUTTER ISLAND」もアナグラムになっています。

並べ替えると、
「TRUTHS AND LIES」
「真実(現実)と嘘(妄想)」。
 
別の並べ方をすると、
「Truths / Denials(真実を拒絶)」。
真実を拒絶するテディを意味しています。
 

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ディカプリオの妄想はどこからどこまで?

映画ではテディの妄想も映像化されているため、どこからどこまでが真実なのか?
そしてどこからがテディの妄想なのか?見極めるのがかなり難しくなっています。

コップの水が急に消えた謎

カーンズが

カーンズ「お水をいただけるかしら」

と水を要求し、シーアン医師が持ってきた水を飲んでいる時、
なぜかコップが消えています。

カーンズが机の上にコップを置いた時には、コップの中の水はなくなっています。
しかし、次のシーンではコップに水は入ったまま。

一体どういうことなのか?

テディは

テディ「水がちょっと苦手でね」

と自身で言っている通り、
妻ドロレスが湖で子供たちを殺してしまったことから、水へのトラウマを抱えています。

冒頭で激しい船酔いに襲われたり、
雨の中ドロレスがびしょ濡れで現れたり、度々そのトラウマは幻覚として現れます。

・・・が!

このコップの水はテディのトラウマとは関係ありません。

これは、テディに真相を教えようと思っていたカーンズのテディへのヒントであると同時に、
実は「あなた」へのヒントでもあるのです。
 

カーンズは右手で水を飲むふりをして見せただけです。
実際には左手でコップを置いた(動かした)だけ。
なので水がなくなっていないのは当たり前。

コップが空になっているから、
水を飲んだのだと
「あなた」は思いこまされた。

監督がメイキングで言う

スコセッシ監督「カットの繋ぎ方を楽しんだ」

とはそういう意味ですね。

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カーンズが書いた”RUN(逃げて)”の意味

カーンズは「水が欲しい」と言い、シーアン医師が席を離れたすきに、テッドのメモ帳を奪って“RUN(逃げて)”と書きます。

“RUN”の意味は、
島が危険だから逃げろということではなく、
このままだとテッドはロボトミー手術を受けさせられることになるので、それを警告していたのではないかと思います。

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洞窟の女医レイチェルは実在する?

テディが岸壁の洞窟で出会った女性は、テディの幻覚ではなく、実在します

  • テディが火に手をかざして暖まっている。
  • 翌朝、女性はテディに触れて揺り起こした。

ことから、焚き火も女性も幻覚ではなく、実際に存在しています。

しかし、彼女はレイチェルではありません

ここがややこしいところです。

テディが

テディ「あなたがレイチェル・ソランドー?本物の」

と尋ねた時、女性は頷いただけで否定も肯定もしていません。

そもそもレイチェルは実際はテディの娘の名前で、レイチェル・ソランドーはテディが創った架空の人物なので、この女性はレイチェルであるはずがありません。
じゃあ一体誰なのか?

勝手な推測ですが、
テディと同じ精神病患者ではないかと思われます。

テディと彼女の会話は、微妙に噛み合ってるようで噛み合ってないんですよね。
それが逆に見る人間に錯覚を与えます。

最初のレイチェルの捜索シーンで、

テディ「あそこの洞窟は調べたか?」
警備副隊長「行くのは無理だ。崖の下には毒性の蔦やうるしが密生してる」

と、洞窟の存在をあえて出しているので、
病院側が役者を仕込む可能性は低いと考えられます。

「ソランドー医師から精神治療薬の話を聞いた」というテディに、

コーリー院長「だろうね。彼女は幻覚だから。思ったより重症だな

と返していることからも、
女性が実在するならば院長たちの仕込みではなく、自分が医師だと思いこんでいる病院から逃げ出した患者の可能性が高いでしょう。

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タバコには薬が仕込まれていた?

洞窟で出会ったレイチェルが

「病院の食べ物を食べた?コーヒーも?タバコは自分のものでしょうね?」

と聞いてくるので、精神治療薬がタバコに仕込まれていたのでは?と疑ってしまうのですが、タバコには特に何も仕込まれていません。

最初の船のシーンで、テディは

「タバコをどこに入れたかな。上着のポケットに入れたのに・・・」

と言っていますが、そもそもテディは患者なのでタバコを持っていません

なので、毎回1本ずつシーアン医師にもらっています。

だから、チャックは「俺のをどうぞ」と勧めたのです。

そして、テディは火を持っていないので、毎回シーアン医師がライターで火を付けてくれます。

その証拠に、嵐から病院に戻り、着替えを渡された際、
職員はタバコをシーアン医師だけに2箱渡しています

危険な患者であるテディに火器を持たせるはずがないので、C棟に侵入した際、マッチを擦っているシーンはテディの妄想なのです。

警備隊長の車で送られて施設に戻った際、
コーリー院長もテディにタバコを勧めますが、
これは薬を与えようとしたのではなく、禁断症状の出始めているテディの気を紛らわせるための院長の気遣いではないかと思います。

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嵐は起きていない?

コーリー院長「2年間同じ話を聞かされ暗記してしまったよ。67人目の患者、、レイチェル、相棒」

院長のこの言葉からすると、
嵐もテディの妄想では?となるのですが、
そうするとびしょ濡れになったり、着替えたりしているのに矛盾が生じます。

コーリー院長「外を見たまえ。死んでるよ」

 

これ不思議なのが、手帳に書かれた文字で、RUNの文字だけが雨で流れ出しているんですよね。

つまり、そもそもカーンズは書いていない。

シーアン医師の表情はアンドリューの文字以外何も書かれてないからじゃあ?という気もします。

嵐の空のCGが偽物っぽいのは、テディの妄想だからなのか・・・。
ここはう~ん、微妙です。

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洗脳説・陰謀説の考察

ラスト、再び元に戻ってしまったテディに、シーアン医師は

シーアン医師「俺たちの方が利口だ」

と答えます。

この言葉から、
テディの言うことは真実だが、コーリー院長たちの洗脳が成功した
という解釈も言われていますが、
これは100%ないです。

コーリー院長たちが病院ぐるみで人体実験をし、陰謀を企てているなら、そもそも患者の失踪を本土に連絡しないでしょう。
わざわざ連邦保安官を呼び寄せる必要はなく、今まで通り淡々と実験を続ければいいだけです。
自分たちに不利ですからね。

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テディはコーリー院長から、最近の精神医学の現状について「戦争だ」と説明を受けます。

精神医学の現状
  • 保守派:外科処置を指示。前頭葉切裁術を始めとする精神外科(ロボトミー)の分野。患者は従順になるという説と廃人になるという説がある。
  • 改革派:薬による治療。患者の精神を落ち着かせるソラジンという新薬もある。
  • 進歩派:院長はこの立場。敬意を持って患者の話に耳を貸せば、相手の心に到達できると考える。

院長は進歩派で、ロボトミー手術にも薬の投与にも否定的でしたが、テディは暴力的で訓練され、危険でした。
看護助手、警備員、患者を傷つけ、さらにはノイスを襲っています。
そのため、院長は止むを得ずテディにクロルプロマジンを投与し、最終手段としてロボトミー手術を施すことにしたのです。

シーアン医師「試みが失敗だと、我々のここでの成果が全て無となる」

コーリー院長「我々が”戦い”に勝てるか、それは君にかかっている」

コーリー院長もナーリング医師、シーアン医師も、医師たちはみなテディの身を案じています。

特に院長は何とかしてテディを救ってやりたいと思っています。
それは

コーリー院長「ここでの価値ある試みはなかなか理解されない。人はすぐ簡単な解決法に飛びつくからね。理解されなくとも私はあきらめずに戦う」

というセリフや、「処罰を下すべき」とする警備隊長と理事たちを説得し、ロールプレイ治療に踏み切った姿勢からもわかります。

コーリー院長「このまま空想の世界で生かしてやりたいが」

というのが院長の本音でしょう。

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テディの額の傷は?絆創膏でロボトミー手術の痕を隠してる?

最初の船のシーンからラスト、シャワーを浴びるまで、テディの額には絆創膏が貼られています。
これはロボトミー手術の傷痕では?という解釈がありますが、
違います。

洞窟で出会ったレイチェルの言う通り、ロボトミー手術が

「患者に電気ショックを与え、目にアイスピックを刺し、脳神経を取り出す」

のような手術なら、あの程度の傷ではすまないでしょう。

あれは2週間前にジョージ・ノイスを暴行した時に出来た傷です。

その証拠に、ラスト、灯台に乗り込む前にシャワーを浴び、絆創膏は取れますが、特に大きな傷痕は残っていません。

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ドロレスの死は自殺?

ドロレスの死は自殺では?との解釈がありますが、
これも違います。

映像をよーく見てください。
ドロレスが死んだ時、ドロレスはアンドリューの顔に両手を添えています。
つまり、銃は持てません。

なので、ドロレスの死は自殺ではありません。
ドロレスを撃ち殺したのは間違いなくアンドリューです。