宮崎駿監督のジブリ映画『ハウルの動く城』では、ソフィーがなぜおばあさんになったり若返ったりするのか、ハウルとカルシファーの契約って何?なぜ戦争をしている?などなど、映画だけではストーリーにわかりにくい点や疑問がいくつか出てきます。そういった9つの謎について、原作小説『魔法使いハウルと火の悪魔』をもとに考察&解説していきます!
目次
「ハウルの動く城」の9つの謎を徹底考察&解説!
『ハウルの動く城』の映画の謎を解き明かすのに、一番の手がかりとなるのは原作小説です。
ここから原作小説のネタバレをふんだんにしていきますので、まだ読んでいない方は先に読んでみてください。
原作小説と映画では、基本設定にいくつか違いがあります。
・父親が死んで多額の借金があり、レティーとマーサは奉公に出ることに。
・パン屋「チェザーリ」で働いているのが次女レティーのはずだったが、2人は入れ替わっており、実はマーサ。
・レティーは奉公先で魔法を習っている。
・サリマンは映画では老女だが、原作では男性。
これをチラッと頭に入れておくと、かなりストーリーが理解しやすくなります。
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なぜ戦争をしてる?
ソフィーたちが暮らすインガリーという国は、隣国と戦争をしています。
ハウルが魔法使いとして国王から戦争に召集されたり、ソフィーを守るために爆弾を食い止めたりと、後半特に戦争描写が色濃くなっています。
しかし、実はこの戦争描写は原作にはないシーンなのです。
原作ではハウルの母国はイギリスのウェールズということになっていますが、戦争をしている描写は一切ありません。
つまり、宮崎駿監督の映画オリジナル。
なぜ原作にない戦争描写を入れたのかについては、
鈴木プロデューサー「宮崎監督は『戦火の恋』をやりたかったそうです」
戦火の危機的状況で、逃げ続けていたハウルがソフィーを守るために戦うのを描きたかったのかもしれませんね。
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どうしてソフィーは荒れ地の魔女に呪いをかけられた?
ソフィーは帽子屋を訪ねてきた荒地の魔女に、突然
「荒地の魔女に張り合おうなんて、いい度胸ね」
と、老婆になる呪いをかけられてしまいます。
ソフィー自身全く見に覚えがなく、いきなり荒地の魔女に因縁をつけられた形です。
一体どういうことなのか?
原作では、ソフィーは妹のレティーと間違われて呪いをかけられています。
荒地の魔女の狙いは、サリマンとジャスティン王子、そしてハウルの好きな部分を寄せ集め、完全な人間を作り、新しいインガリー国王にすえて、自分が女王として統治することでした。
そのためにまずサリマンを、次にジャスティン王子を荒れ地におびき寄せようとします。
行方不明となったサリマンを探しに出たジャスティン王子は、レティーにサリマン探しのまじないの調合を依頼します。
その時指し示したのが、カカシのカブ、もしくはハウルの城にあったサリマンの頭蓋骨です。
そのため、ジャスティン王子は北へと向かいました。
王子を荒れ地に呼び寄せるつもりだった魔女は、これに怒ります。
荒地の魔女「あの間抜け王子、どういうわけか、北の方へ行ってしまった」
そしてパーシヴァル(ジャスティン王子とサリマンの残りでできた人間)からレティーの記憶を読み取り、やっかいをかけさせたレティーをこらしめるため、帽子店を訪れたというわけです。
ところが荒地の魔女はソフィーをレティーと勘違いし、呪いをかけてしまいます。
これがソフィーが呪いをかけられた理由でした。
が、映画ではこの辺りが全く描かれてないので、理由はさっぱりですね・・・。
魔女としてのソフィーの力を警戒したのかもしれません。
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ハウルとカルシファーの契約の秘密って?
火の悪魔カルシファーは、もともとは流れ星でした。
カルシファーが空から落ちて死ぬところを、かわいそうに思ったハウルが、カルシファーを生かすために自分の心臓を渡していたのです。
ソフィー「カルシファー。サリマンが言ってたわ。ハウルは大切なものをあなたに渡したって。何それ?どこにあるの?」
つまり、ハウルがカルシファーに渡した「大切なもの」とは自分の心臓のこと。
カルシファーはハウルに心臓をもらった代わりに、城を動かし、ハウルに強力な魔力を与えています。
これがハウルとカルシファーの契約の秘密です。
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どうしてソフィーの呪いは解けた?
最初は90歳のおばあさんだったソフィーが、どんどん若返っていき、物語のラストでは元の18歳の姿に戻ります。
どうして荒地の魔女の呪いを解けたのか?
ソフィーは自分では気付いていませんが、実は魔女です。
物に命を吹き込む力を持っています。
原作では、ソフィーが話しかけたことによって帽子が飛ぶように売れたり、杖が魔法の杖になったり、ハウルの服が女の子を夢中にさせる服になったりします。
カカシのカブに命を吹き込んだのもソフィーです。
つまり、もともとソフィーには荒地の魔女の呪いを解くだけの強力な魔力があったということです。
魔女ですからね。
なので、ソフィーは自力で魔女の呪いを解いていったのです。
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なぜソフィーは途中から若くなったりおばあさんになったりするのか?
だんだん若返っていくとはいっても、ソフィーは途中元の18歳の姿に戻ったと思ったら、またおばあさんになったりしています。
これは一体どういうことなのか?
おそらく、魔女といってもソフィー自身に自覚がないため、魔力はソフィーの精神状態に大きく左右されています。
なので、ソフィーが自分に自信がなくなったり、精神的に不安的な時は、再びお婆さんの姿に戻ってしまうのです。
ハウルに「ソフィーはキレイだよ」と言われても、自分に自信がなくハウルの言葉を信じられなかったソフィーは、一気におばあさんの姿に戻ってしまいます。
逆に、城の掃除をして自分に自信が出てきた時は若返っています。
ラスト、呪いが完全に解けたのは、ソフィーが強い気持ちを持って、自分に自信が持てたからではないでしょうか。
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ハウルとカルシファーの契約を解除したのはソフィー?
ソフィーがカルシファーに水をかけて消すと脅した時、
カルシファー「なんてこと言うんだ!そしたらハウルも死ぬぞ!」
と言っています。
ハウルはカルシファーに心臓をあげたことによって、カルシファーと一蓮托生になっています。
つまり、カルシファーが死ねば、ハウルも死ぬのです。
また、ハウルに心臓を返しても、カルシファーは死んでしまいます。
しかし、
ソフィー「カルシファー、心臓をハウルに返したら、あなたは死んじゃうの?」
カルシファー「ソフィーなら平気だよ。たぶん。オイラに水をかけても、オイラもハウルも死ななかったから」
ソフィーが魔女として「物に命を吹き込む力」をもっていたからこそ、カルシファーはソフィーに呪いを解いてくれるよう頼んだのです。
ソフィーがカルシファーに「千年も生きますように」と命を吹き込み、一方でハウルの心臓に「入って、動け!」と命じたことでハウルも生き返りました。
こうしてハウルとカルシファーの契約は解除され、カルシファーは自由の身となったのです。
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ハウルはソフィーの正体に気付いていた?
ハウルの城に入った際、カルシファーはすぐにソフィーにかけられた呪いに気付きます。
ということは、ハウルも気付いていた可能性が高いです。
サリマンが認める魔力の持ち主であるハウルが、強力な呪いに気付かないはずはありません。
原作でハウルは、
ハウル「強力な魔法を見たら、気づくに決まってるだろうが。あんたが気づかないうちに、何度か呪いを解こうとしてみたんだ。ところがどうやってもうまくいかない」
と語っています。
映画でも、鳥の姿となって城に戻ってきたハウルが、眠っているソフィーの寝顔をのぞいた時、ソフィーは元の若い姿になっていました。
つまり、ハウルは初めて会った時から、ソフィーの正体が五月祭で出会った少女だと気付いていたと考えられます。
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カカシのカブに呪いをかけたのは荒地の魔女?
カカシのカブの正体は、隣の国の王子様でした。
呪いでカブ頭にされていたのです。
では誰に呪いをかけられたのかというと、おそらく荒地の魔女です。
荒地の魔女「愛する者にキスされないと解けない呪いね」
と、呪いの内容を知っていましたし。
サリマンに元の年齢に戻され、荒地の魔女の容姿が変わっていたので、王子が魔女に気づかなかったか、
あるいは魔女が自分が呪いをかけたことを忘れていたか・・・といったところではないでしょうか。
ちなみに原作ではカブの正体はサリマンで、映画とは設定がかなり異なります。
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なぜソフィーの髪の色は変わった?
ソフィーの髪の毛の色は、原作ではあかがね色です。
いわゆる赤毛ですね。
映画だと金髪のハウルとの対比のためか、黒髪に近い濃い茶髪になっています。
それが荒地の魔女の呪いによって、老婆に変えられたことにより白髪になってしまいます。
原作ではラスト、呪いが解けた時ソフィー本来の髪色に戻るのですが、映画では灰色のままです。
たぶんハウルに
ハウル「ソフィーの髪星の光に染まってるね。キレイだよ」
というセリフを言わせたかったからじゃないでしょうか。
最高の口説き文句ですからね・・・!