ラプラスの魔女ネタバレあらすじラスト結末 映画は原作と違う?犯人の正体は?

櫻井翔主演の映画『ラプラスの魔女』の原作である東野圭吾の小説ネタバレあらすじと感想についてまとめています。
温泉地で起きた2つの殺人事件の犯人の正体は?円華や謙人の不思議な能力は超能力なのか?そして7年前甘粕家で起きた硫化水素事件の驚くべき真相、タイトル「ラプラスの魔女」の意味など、気になる疑問について解説&考察していきます。
ラストまでネタバレしていますので、結末を知りたくない方はご注意ください。

登場人物&キャスト(俳優)

2018年5月4日公開
上映時間116分
監督:三池崇史
原作:東野圭吾「ラプラスの魔女」

■ 青江 修介(櫻井翔)
泰鵬大学の教授。専門は地球化学。赤熊温泉の事故調査を警察に依頼されたことから、一連の事件に巻き込まれていく。

■ 羽原 円華(広瀬すず)
17歳の女の子。ある特殊能力を持っている。

■ 甘粕 謙人(福士蒼汰)
円華より2歳年上。12歳の時、姉の自殺の巻き添えで植物状態となるが、奇跡的に快復する。

■ 甘粕 才生(豊川悦司)
謙人の父。映画監督。かつては鬼才と言われたが、7年前に家族を失い、表舞台から姿を消している。

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■ 羽原 全太朗(リリー・フランキー)
円華の父。医者。開明大学病院脳神経外科の博士で、脳神経細胞再生の第一人者。

■ 桐宮 玲(TAO)
開明大学総務課。羽原の部下。

■ 武尾 徹(高嶋政伸)
円華のボディーガード。元警察官。

■ 羽原 美奈(檀れい)
円華の母親。円華が10歳の時、竜巻に襲われ、瓦礫の下敷きになって死亡。

■ 奥西 哲子(志田未来)
青江教授の助手。堅物で几帳面な性格。

■ 中岡 祐二(玉木宏)
麻布北警察署の刑事。
水城義郎の死について、遺産目当てで妻の千佐都が殺したのではないかと疑っている。

■ 水城 千佐都(佐藤江梨子)
水城義郎の妻。28歳。元銀座のホステス。

■ 水城 義郎
映像プロデューサー。千佐都とは三度目の結婚で、財産目当てを承知で結婚した。

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ラプラスの魔女ネタバレあらすじをラスト結末まで

起:事故か事件か、温泉地で硫化水素ガス中毒死

元刑事の武尾は、以前仕事で知り合った桐宮に、ボディガードを依頼される。

護衛対象は羽原円華。

一見普通の少女だが、彼女にはある不思議な力があった。
天候を予測したり、風の流れを読むことができるのだ。
不思議に思う武尾だったが、円華についての一切の質問が禁じられていた。

ある日、映画プロデューサーの水城義郎が、妻と共に訪れた赤熊温泉で、近くの山を散策中、硫化水素ガスで中毒死するという事故が起きる。

事故の新聞記事を見た円華は、大雪を利用して車を立ち往生させ、桐宮と武尾のスキをついて車から脱走する。

「どうしても一人で行かなきゃいけないところがあるの」という円華の言葉に武尾は、自分はボディガードではなく、円華の監視役だったのではないかと気付くのだった。

***

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麻布北警察署の刑事である中岡は、水城義郎の死は事故死ではなく、妻の千佐都による殺人ではないかと疑っていた。

というのも、三か月ほど前、水城義郎の母ミヨシから、40歳近くも年の離れた妻に、財産目当てに息子が殺されるかもしれないという相談の手紙が送られてきていたからだ。

千佐都が受け取る遺産は、水城義郎が映画プロデューサーとして築いた多額の財産に加えて、事件の三か月ほど前に複数の生命保険に加入しており、保険金の総額は三億円を超えていた。

さらに、たまたま千佐都だけ事故を免れたというのも怪しい。本人は旅館に忘れ物をして戻っていたと言っているが・・・。

そんな中、水城義郎の葬儀に、甘粕才生というかつて鬼才と謳われた映画監督が現れる。「不運なのかな。硫化水素を吸ったのは、単なる不運だったのかな?」という不気味な言葉を残し、甘粕才生は去っていく。

***

地球化学が専門の大学教授・青江は、警察から捜査協力を依頼され、硫化水素ガス発生の原因を究明するため、赤熊温泉を訪れていた。

大雪にまみれた現場を調査した結果、硫化水素で中毒死する可能性は極めて低く、不幸な偶然がいくつも重なったとしか言えなかった。

現場を調査中、青江は若い女性を見かける。
青江と同じ旅館に泊まっていたその女性は、若い男の友達を探しているという。
旅館の女将によれば、その男は二週続けて赤熊温泉を訪れていた。

東京へ戻った青江の元へ、中岡が訪ねてくる。
中岡は妻の千佐都の犯行を疑い、推理を披露するが、青江は硫化水素を人為的に発生させるのは不可能に近く、千佐都の犯行は無理ではないかと結論づけた。

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承:第二の事件発生

今度はL県の苫手温泉で、硫化水素の中毒事故が発生した。
新聞社から依頼を受け、青江は事故現場に調査に向かう。

被害者は売れない役者の那須野五郎。
映像業界の人間が、たった二か月の間に立て続けに亡くなった。しかも温泉地で硫化水素を吸って。これは果たして偶然だろうかと、青江は疑問に思い始める。

そんな時、赤熊温泉の事故現場にも来ていた若い女性と再び出会う。
女性の正体は羽原円華だった。
羽原円華は身元を明かす代わりに、大事な友人を捜し出す協力をしてほしいという。

友人というのは、円華が赤熊温泉で捜していた青年だ。円華は青江にスマホの写真を見せ、彼を捜し出すため、立ち入り禁止区域になっている事故現場に一緒に連れて行ってほしいと頼む。

青江はその友人が事故を起こしているのでは、と想像するが、事故現場には被害者の足跡しかなく、雪の上を足跡を残さずに移動する方法があるとは思えない。

現場を検証し、上から流れてきたガスが、冬場で地面が冷えていたため拡散せず、滞留していたことがわかる。
円華は「だから今の時季を狙ったんだろうな」と意味深につぶやくのだった。

事故の被害者の共通点を探っているうち、青江は映画監督の甘粕才生にたどりつく。

甘粕才生は47歳の時自宅で起きた硫化水素事故のため、家族を失っていた。
青江は甘粕才生のブログで、事故の全貌を知る。娘の萌絵が自殺を図り、自室で硫化水素を発生させ、妻の由佳子と息子の謙人が巻き添えになったという残酷なものだった。
12歳の息子謙人は一命を取り留めたが、植物状態となってしまう。そして甘粕才生は担当医師から羽原全太朗博士を紹介される。

ここで円華と甘粕才生がつながった。

羽原博士の手術により、甘粕才生は奇跡的に快復するが、同時に過去の記憶を喪失していた。
新しい人生を歩もうとしている息子に、父親として甘粕才生は姿を消すことを選択した・・・というところでブログは締めくくられていた。その後の甘粕才生や謙人の行方はわからない。

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中岡が再び青江を訪ねてくる。
互いの情報を共有するうち、第1の事故で、妻の千佐都ではなく、共犯者が事前に何度も実験をしたのではないかという可能性が浮上する。

さらに、中岡がネットで検索した甘粕才生の画像は、円華に見せられたスマホの人物に酷似していた。年齢を除いて。
そこで青江は、円華が捜しているのは甘粕謙人だと気付く。

その後中岡は羽原博士にも接触して探りを入れるが、たいした情報は得られない。

一方、羽原博士側も円華の行方を捜すため、中岡の行動を分析していた。武尾の助言もあり、中岡が円華の正体を知っていたことから、羽原博士は青江に辿り着く。

青江は桐宮の追及をかわし、苫手温泉で円華から得ていた電話番号から、円華と直接話すことに成功する。
甘粕謙人の情報と引き換えに、事件の真相を教えてくれるよう要求した。

夜の公園で、円華はドライアイスで発生させたスモークを拡散させずに目的の場所まで到達させて滞留させ、硫化水素ガスの動きを擬似的に再現してみせる。

青江は目の前で起こった現象が信じられず、円華に説明を求めるが、青江が桐宮に尾行されていたことを知った円華は姿を消してしまう。
円華は一体何者なのか。

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転:円華と謙人の正体

甘粕才生の家族を知る人たちに聞き込みをしていた中岡は、甘粕才生のブログに書かれた家族像と現実にズレを感じていた。

子供達は父親を嫌っており、夫婦の関係も冷え切っていた。さらに、当の甘粕才生本人は異常なまでの完璧主義で、妻も子供も彼が思い描く理想の家族ではなかったことが判明する。
つまり、甘粕才生は嘘のブログを書いていたことになる。なぜそんなことをしたのか。

しかしそこまで調べたところで、警察庁から捜査に圧力がかかる。

一方、円華の能力について、父親の羽原博士から直接説明を受けていた青江は、甘粕謙人がサイコロの目を予測している映像を見せられる。

甘粕謙人は膨大な量のデータから、物理法則に基づいてサイコロの目を予測していた。まるでスーパーコンピューターのように。

羽原博士によれば、甘粕謙人はエキスパートブレーンの持ち主で、未来の状況をほぼ完璧に予測できるのだという。
それゆえ甘粕謙人の存在は、厚労省や文科省、警察庁まで絡んだ国の極意事項になっていた。

数理学研究所では甘粕謙人の能力についての研究をラプラス計画と名付け、甘粕謙人の能力が手術の影響によるものなのか、再現性を立証するため、禁断の実験に踏み切る。
健常者への施術、それも自分の娘に手術を行った羽原博士を、青江は狂気の沙汰だというが、実は円華は自分で実験に志願していた。
「自分はラプラスの魔女になりたかったのだ」と。

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円華の母親は円華が10歳の時、北海道の実家に帰省中に竜巻に襲われて死亡していた。
母親の命を一瞬にして奪い去った竜巻を、円華は予測できるようになりたかった。
そして四年前の秋、父親が忘れたスマホを届けるため数理学研究所を訪れた円華は、偶然甘粕謙人と出会う。謙人の秘密を知り、自らラプラス計画の被験者に志願したのだった。

しかし、それはラプラスの悪魔の能力を身につけた、謙人の入れ知恵だった。
長年深い孤独感を抱えていた謙人は、自分と予測を共有できる仲間をほしがっていた。

手術は成功し、円華はラプラスの魔女への道を歩み始めるが、謙人が突然数理学研究所から失踪する。
そして温泉地での事件が発生し、羽原博士は失踪した謙人の目的が父親への復讐だったのではないかと推測する。
娘と妻、さらに息子をも殺そうとした犯人は、実の父親の甘粕才生であり、謙人が記憶喪失を装っていたのは、そんな父親と繋がりを断つためだったのではないかと。

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結:謙人の父親への復讐の結末

謙人は円華に、甘粕家で起きた硫化水素事件の真相を打ち明けていた。
あれは自殺などではなく殺人だったと。
動機は犯人の単なるエゴであり、頭のおかしい人間による、身勝手な犯罪だ、だから必ず罰を与える、とも。
円華は、いつか謙人が父親への復讐のために研究所を離れ、そして復讐を果たした後は、自ら死を選ぶ気でいると悟った。

赤熊温泉と苫手温泉で起きた二つの硫化水素中毒事件から、円華は謙人が甘粕才生をあぶり出そうとしていることに気付く。
謙人の自殺を止めるため、千佐都の動きを見張ることにした。
そしてついに、千佐都が動き出した。

謙人は「木村浩一」という偽名で千佐都の前に現れ、千佐都を言葉巧みに夫殺しへ導いていた。自分の復讐を果たすために。
すっかり謙人の言いなりになった千佐都は、謙人の計画通り赤熊温泉へ夫を旅行に誘い、さらに第二の事件の被害者である那須野五郎も事故現場まで誘導していた。
そして今度は、甘粕才生を謙人の元へ連れて行こうとしていた。

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途中警察に邪魔されながらも、青江の協力を得て、円華は謙人の最終目的地点にたどり着く。
そこは、甘粕才生が撮った最後の作品「廃墟の鐘」のロケに使われた建物だった。
今は廃墟となったその建物で、謙人は自分を殺そうとした父親と対峙する。

先天的に父性が欠落していた甘粕才生は、完璧でない家族に失望し、妻や子供を抹消して改めて過去の記憶を修正することにした。
そして自分の理想とする素晴らしい家族をブロクで綴り、最終的にはそれを「完璧な家族」として映画にするつもりだった。

水城義郎と那須野五郎は、甘粕才生の共犯者であり、甘粕才生のアリバイ工作を手伝っていた。
事故当時、病院に駆けつけた甘粕才生は、水城義郎に電話をかけ、自分の計画を語る。
植物状態となっても意識があった謙人は、その一部始終を聞いていたのだった。

自分の家族を皆殺しにしようとした父親への復讐に、謙人は「中毒死なんかよりもっと素晴らしい死に方」を与えようと考える。
そうして選んだのが今日、この場所だった。

謙人は倒壊寸前の廃墟を利用して、ダウンバーストで父親を生き埋めにし、植物状態の時の絶望を思い知らせようとしていた。
しかし謙人の狙いに気付いた円華が、車で建物の一部を壊し、ダウンバーストの衝撃を半減させたため、甘粕才生は生き延びてしまう。
なおも手を下そうとする謙人を、円華は止める。

甘粕才生の罪の自白を録音したボイスレコーダーを見せ、生まれてきてもこなくてもこの世界には何の影響もない人間だったから殺したという父親に、「この世に存在意義のない個体などない。ただの一つとして」と言い残し、謙人は姿を消した。

温泉地での中毒事故は、正体不明の人間によるいたずら半分の行為だったということで処理された。
そして甘粕才生は、入院していた病室で自殺した。

円華は元の生活に戻っていた。
父親の誕生日プレゼントを探して立ち寄ったアクセサリー店で、遭遇した強盗を撃退したご褒美に、武尾は一つだけ円華に質問を許される。
この世界の未来についてたずねる武尾に、円華は「それはね、知らないほうがきっと幸せだよ」と答えるのだった。

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ラプラスの魔女解説&考察

タイトル「ラプラスの魔女」の意味は?

フランス人の数学者、ピエール・シモン・ラプラスの立てた仮説「ラプラスの悪魔」に由来します。

ラプラスの悪魔とは?
もし、この世に存在するすべての原子の現在位置と運動量を把握する知性が存在するならば、その存在は、物理学を用いることでこれらの原子の事件的変化を計算できるだろうから、未来の状態がどうなるかを完全に予知できる。

謙人の予測能力がこの「ラプラスの悪魔」にイメージが近かったことから、数理学研究所は謙人の能力についての研究をラプラス計画と名付けます。

また、円華と交流している時、謙人は自らを「ラプラスの悪魔」と呼んでいます。
ここから、円華は女性だったので、自分を「ラプラスの魔女」としたのではないかと推測できます。

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謙人が記憶喪失のフリをしていたのはなぜ?

父親が家族を皆殺しにしようとしたことを知っても、植物状態だった謙人には、誰かに訴える手段が何もありませんでした。
一方、何も知らない甘粕才生は、当然父親として接してきます。
妻と娘を失い、息子までもが重大な障害者となってしまった哀れな男として。

それに対して、謙人はなんとかして父親との繋がりを断つため、甘粕謙人しての記憶をすべて失っていることにした・・・というのが羽原博士の仮説です。

実際は当時12歳の謙人にそこまでの計算はなく、父親に対してどういう態度を取ればいいのかわからず、過去の記憶をなくしているふりをしていたのでした。

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ダウンバーストとは?

積乱雲から下降する気流が地面に激突し、大きな破壊力を持ったまま周囲に吹き出す現象。

急激に発生する局地現象で、雷雨やダウンバースト、竜巻など乱流の予測は難しい。
しかし、謙人はこの乱流を制してみせます。

強力なダウンバーストが起きる地点を予測し、それが父親の甘粕才生を呼び寄せたあの廃墟でした。
ダウンバーストが起きれば、中にいる人間は瓦礫と一緒に吹き飛ばされるか、この場で瓦礫の下敷きになるか。そうやって謙人は父親を生き埋めにして殺す気でした。

が、円華もまたダウンバーストを予測し、崩壊が始まる前に建物の一部を壊しておき、内側から圧力で壊れ方を変えることで、謙人と甘粕才生が生き埋めになるのを防ごうとしましす。
風で吹き飛ばされた車が建物に命中するポイントを計算し、青江にそこへ車を移動させたのでした。
結果、円華の目論見は成功し、謙人は助かります。

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甘粕才生は本当に自殺だった?

ラスト、甘粕才生は病室で濡れタオルを首に巻いて窒息死します。
あまりに奇妙な死に方なので他殺が疑われますが、科学的に自殺が証明されます。
余程の強い意志がないと不可能な自殺方法だと。

甘粕才生の死は謙人の仕業なのでは?と思った人も少なくないはず。
あれほどの執念を持って、千佐都を操り、入念な準備の上水城義郎と那須野五郎を葬った謙人です。
円華に止められたからといって、父親への復讐をあきらめるでしょうか。

物理現象を全て見通す謙人なら、濡れタオルを自殺に見せかけ、甘粕才生の首に巻き付けることすらも不可能ではない気がします。

もっとも、「完璧な家族」を撮る野望を打ち砕かれた甘粕才生が、完璧主義ゆえに自身の現状に絶えきれず、自殺した・・・というのも十分あり得る話ですが。

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ラプラスの魔女感想

『ガリレオ』よろしく、脳神経の再生手術により驚異的な能力を手に入れた青年が引き起こす、ちょっと不思議な空想科学ミステリーです。

究極の頭脳をもつ人間ならそういう殺し方するか~というトリックは唸らせられます。
机上の空論で実際はそんな殺害方法は無理なんでしょうけれど、あり得ないともいい切れないところが。

羽原博士がマッドサイエンティストとして狂気に手を染めていくさまや、ある感情が欠落しているがゆえに残酷な犯罪に手を染める甘粕才生はまさに東野圭吾節。

個人的には映画キャストは武尾→豊川悦司、甘粕才生→高嶋政伸で見たかったですが、甘粕才生が美形設定なのでやむなしですね(笑)

映画とあわせて原作小説も読んでみると、映画の疑問がかなり補完されると思います。